岩波少年文庫<br> ぼくたちもそこにいた

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岩波少年文庫
ぼくたちもそこにいた

  • ISBN:9784001145670

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内容説明

優等生のハインツ,時代の流れに素直には従えないギュンター,そして〈ぼく〉.ヒトラー政権下のドイツで,青少年組織ヒトラー・ユーゲントに入団した少年たちが経験したことは? すさまじい勢いで戦争へ突入していく日々を,その時代に生きた〈ぼく〉が,克明に,そして淡々と描く.『あのころはフリードリヒがいた』の続編.

目次

一九三三年┴人殺し┴インターナショナル┴選挙┴一九三四年┴行進┴歓迎┴募金┴一九三五年┴祭典┴本┴ユダヤ人┴一九三六年┴小箱┴予選┴新入団員┴一九三七年┴模擬野戦┴槍┴大隊長┴一九三八年┴三人の父親┴供出物資┴ノート┴一九三九年┴ヒトラー・ユーゲント┴野営で┴プラン┴一九四〇年┴パーティ┴後継者┴別れ┴一九四一年┴農繁期動員┴英雄┴入隊前の軍事教練┴一九四二年┴空襲┴配置転換┴変化┴学童疎開┴徴兵検査┴一九四三年┴夜┴註┴年表┴訳者あとがき┴カバー絵 岩淵慶造

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モルク

103
リヒター三部作で「あのころはフリードリヒがいた」の続編。ヒトラーが政権を握るとそれまで批判的だった者も意見を言えない状況となりナチス勢力に取り込まれていく。子供たちもその茶色の制服に憧れる。幼馴染みの3人組優等生のハインツ、親がアカの思想を持っていたギュンター、そして優柔不断な「ぼく」もその例外ではなく「ドイツ少年団」そして「ヒトラーユーゲント」に入り、そして自ら入隊する。時代の波に流され間違った思想を正しいと洗脳される。それは日本にも共通していたことで胸が痛い。兵士となった彼らのその先を見なければならぬ2021/09/11

rico

89
例えば茶色のシャツの憧れ。それは、社会の隅々まで周到にはりめぐらされた「ヒトラーへの忠誠が唯一無二」という思想への誘導装置。無邪気にじゃれ合っていた少年たちは、疑問や反発を感じつつも兵士として銃をとる。殺し殺される戦争の実相に思い至ることなく。「あのころフリードリヒがいた」の続編。前作同様一人の少年の視点で、社会が一色に染められ、抗えなくなっていくプロセスが淡々と描かれる。同じようなことは今も起こっている。彼の国でもこの国でも。後知恵ではあれこれ言えるけど、現実に対して自覚的であることは容易ではない。2022/03/03

たつや

44
フリードリヒ三部作ですが、スピンオフ的作品。相当リアルで寒気がするくらいでした。いきなり人殺しから始まる。とにかくヒトラーへの嫌悪感が強くなり、反戦を望み、平和を愛したいと思う。あと一冊で三部作読破です。2017/01/20

はやしま

34
熱心なヒトラー・ユーゲントだった筆者の少年期から青年期にかけての自伝的物語。筆者曰く-第三帝国が事実いかなるものであったかの偽らざる記録-。「フリードリヒ」と時間が重なっていてユダヤ人を巡る騒動にも触れるがメインは「ヒトラーの少年」としての活動の日々。「ぼく」が殆ど疑問を挟まず活動する様子や、大人たちが(疑問を持っていた者もナチスを盲信していた者も)次第に戦争へと進んでいく様子を淡々と描く。その筆致に当時のドイツの様子が今の時代と空気が似ていることをつきつけられ、読了後に不安と怖ろしさと疲労感を覚えた。2015/11/29

みつ

33
『あのころはフリードリヒがいた』から18年後に訳出された続編。今回は挿絵はなし。時間軸ではほぼ同じ時代が描かれる。前作で描かれたユダヤ人少年フリードリヒは、ここでも虐めの対象としてp78で少し顔を出す。彼を守ろうとする少年たちがドイツ少年隊、ヒトラー・ユーゲントに入隊することは何とも皮肉。物語はもっぱら彼らの軍事教練が描かれる。戦争状態の膠着状況さらには悪化の中、戦争に反対だったギュンターの父親も負けた場合のドイツの命運を憂慮し「勝たなくてはいかんのだ!」(p 243)と言う言葉に戦争の悲惨さが強く漂う。2024/02/01

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