岩波新書<br> 国際人権入門 - 現場から考える

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岩波新書
国際人権入門 - 現場から考える

  • 著者名:申惠 
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 岩波書店(2020/12発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318453

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内容説明

第二次大戦後,人権に関するさまざまな国際ルールがめざましい発展を遂げ,日本もそれを守ることとされている.日本社会で現実に起きているさまざまな人権問題も,これらの国際人権基準に照らして考えることで,新たな光を当てられ,解決の方法を見出すことができる場合が少なくない.日本の現場から国際人権法の「活かし方」を考える.

目次

はしがき┴序章 国際人権基準とそのシステム┴国際的な人権保障の出発点は国連憲章/世界人権宣言/国際人権規約,その他の人権条約/「国連憲章に基づく手続」と「人権条約に基づく手続」/報告制度/報告制度が生んだ成果/名古屋刑務所事件/一般的意見/個人通報制度/日本国内における人権条約の位置づけ/憲法と条約との関係/国際人権基準に照らして人権保障のあり方を考える┴第1章 「不法滞在の外国人」には人権はないのか 入管収容施設の外国人┴退去強制手続と収容/入管収容施設内での処遇/マクリーン事件判決の論理/「管轄下にあるすべての人」への人権保障/難民条約との関連/裁判を受ける権利の侵害/外国人にも家族生活の保護を受ける権利がある┴【コラム 技能実習生の人権】┴【コラム 国際人権法の誕生とその背景】┴第2章 人種差別・ヘイトスピーチ 差別を「禁止」する法の役割┴社会生活における人種差別を禁止する法律がない日本/民法の「不法行為」の規定をあてはめて解釈する迂遠な方法/人種差別を扇動するヘイトスピーチ根絶のための国の義務/諸外国の立法の例/民族的出身に基づくヘイトスピーチは人種差別/ヘイトスピーチ解消法の限界/ネット上のヘイトスピーチに対する取り組み┴第3章 女性差別の撤廃と性暴力┴セクハラは「性(ジェンダー)暴力」であり,「女性差別」/諸外国の立法/「暴行又は脅迫」要件/女性の権利を法的に保護しないことによる国の条約違反┴第4章 学ぶ権利実現のため措置を取る国の義務 社会権規約の観点から┴上がり続ける大学の学費と私費負担/社会権規約が要求している措置/単なる努力義務ではない/意図的な権利後退措置は社会権規約の趣旨に反する/「高等教育無償化」を謳う政府の施策がはらむ問題/【追記】コロナ禍で顕在化した人権問題と今後の課題┴【コラム 人権保障と予算】┴【コラム 日本にも国内人権機関を作ろう】┴読書案内

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sayan

25
バランスを欠いた「べき論」中心の人権議論ではない。Bコンスタントの「近代人の自由と比較された古代人の自由について」の指摘を踏まえた人権保障議論は大変刺激的だ。特に、アメリカ独立宣言・フランス人権宣言に言及し構造的に人権概念を導き出す。両宣言は自然権としての人権と、それをより良く守るための社会契約を共通点とする。かつて国内問題とした「自国民に対する扱い」が国際政治の俎上にあがった背景として第2次世界大戦を経て、現在の文脈に落とし込む。条約遵守主義をとる日本で、憲法と人権条約・安保条約の位置付け相違は新鮮だ。2020/10/01

フム

25
日本で起きている様々な問題を目にする時に、まさに人権の問題なのになぁ、と思ってため息が出る。そして、日本で起きている人権問題は、多くが日本の国内法のみに沿って考えればいい国内問題ではなくて、守るべき基準である国際人権法に照らして考えるべき問題なのだという。中でも本書に取り上げられている入管収容施設における外国人への人権侵害、技能実習生の待遇、ヘイトスピーチの問題など、国際基準とのギャップが激しく現れている現場だ。他にも性差別や子どもの学ぶ権利など、人権という概念が行き渡れば当たり前のことなのにと歯がゆい。2020/09/24

あんさん

15
大阪で育ったので「人権」というと部落差別や在日朝鮮韓国人問題が浮かぶが、もっと国際的な視点で俯瞰したいと思い読む。序章で国連憲章に始まる国際人権基準を概説。以下、入管法の運用状況(いわゆる「不法滞在の外国人」)、ヘイトスピーチ、女性差別・性暴力、教育費と奨学金(学ぶ権利)を取り上げる。国力は落ちつつあるが、井の中の蛙にならず、誇りを保ち謙虚に学ばないと。憲法前文が浮かんだ。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」2025/04/27

ヤギ郎

14
2020年出版。前半では、国連憲章を筆頭に国際人権法を体系的に解説している。国際法や人権論の入門者を意識しているようで、説明が分かりやすい。重要用語は太字にされ、引用文献も丁寧に記載している。後半では、「外国人」「ヘイトスピーチ」「女性差別」「学ぶ権利」をそれぞれテーマに据えて、日本の現行制度に対して国際人権論から批判を展開している。今日では人権を守るためにさまざまな取り組みが行われている。(不十分なものもあるが、)真に守りたい人権について突き詰めて考えることが肝要だろう。初学者におすすめの一冊。2022/04/01

なーちゃま

6
感想はnoteへ! https://note.com/socialstudies/n/n42fbf8604481 国際協力学を学ぶ上で、人権はどの問題にも通底する概念。今まで、それをいかに所与のものとして扱っていたのか、軽視していたのかに気づかされた。入門なのでさらっと読めたが、それでも法律の話が多く、法律の話に苦手意識のある自分は読み進めるのが大変だった。あと少し入門書を読んだほうがいい。2021/01/12

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