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内容説明
内戦を終結させ,ローマ帝国への道をひらいた英雄──多くの人がカエサルをそう描くが,実のところ,彼はどんな時代を生き,何をなそうとしたのか.共和政末期の政治社会状況やキケローら同時代人の動向を丹念に読み解き,また『ガリア戦記』をはじめとする彼自身の著作活動にも着目,その苛烈な生涯を資料に基づいて活写する.
目次
まえがき┴第一章 生い立ちから青年期まで┴1 家系と家族┴2 カエサル誕生の頃のローマ┴3 「カエサルの中には多くのマリウスがいる」┴4 若き日の武勇伝┴第二章 表舞台への登場┴1 「名誉の階梯」┴2 カエサルの初期の公職┴3 執政官選挙出馬まで┴4 「ユーリウスとカエサルの年」┴第三章 ガッリア総督カエサル┴1 ローマとガッリアの関係┴2 前五八年の戦い 『ガリア戦記』第一巻┴3 前五七~五五年の戦い 『ガリア戦記』第二~四巻┴4 ガッリアの反乱(前五四~五三年) 『ガリア戦記』第五~六巻┴5 ウェルキンゲトリークスとの戦い(前五二年) 『ガリア戦記』第七巻┴第四章 内戦と勝利┴1 カエサル不在のローマ(前五八~五二年)┴2 内戦へ向かうローマ(前五一~五〇年)┴3 開戦 パルサーロスの戦いまで(前四九~四八年夏)┴4 戦いの終わり(前四八年秋~四五年)┴第五章 文人としてのカエサル┴1 『ガリア戦記』┴2 『内乱記』┴3 その他の著作┴終章 ローマ革命への道┴1 帰国と諸改革┴2 最期の日々┴3 暗殺とその後┴あとがき┴図版出典一覧┴主要参考文献┴略年表┴人名索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
76
「ローマ人の物語」で、塩野七生さんが、愛する恋人を描くようにカエサルを熱く語るのに興奮した立場からすると(蛇足ながら、15巻の長い「ローマ人の物語」の中では4・5巻のカエサルと10巻のインフラが白眉)、淡々と歴史的事実を積み重ねるこの本は、ある意味、退屈である。カエサルよりキケロの方に興味を覚えるほどだし、劇的なルビコン渡河も「カエサル本人は、ルビコン越えについても、「賽は投げられた」の言葉についても、何一つ記していない」と素っ気ない。正否は別にして、歴史に対する対照的な態度を比較して面白いなあと感じる。2020/10/07
Nat
39
図書館本。カエサルの生涯を淡々と簡潔に綴っている。カエサルについておおよそのことは知識として知っていたが、詳しく知るのは初めてなので面白かった。圧倒的な強さを誇っていたイメージがあったが、ガッリアでの戦いや内戦時も際どいところで勝ち残った印象を受けて意外だった。『ガリア戦記』や『内乱記』についての記述が面白かった。前から思っていたが、あっけなく暗殺されてしまったことが残念。次は後継者となったオクタヴィアヌスについて、詳しく知りたくなった。カエサルより腹黒な感じがする。2020/11/07
サアベドラ
37
カエサルの簡潔な伝記。2020年刊。著者の専門はキケロー。英雄や革命者としてではなく、マリウスやスラ、ポンペイウスに連なる内戦期の政治家・将軍として、あるいは文人としてカエサルの事績を褒めもせず貶めもせず淡々と記している。著者は「依頼されたから書くけど、カエサルに関する本はたくさんあるのにわざわざ本書を書く理由はあるのかしら」と書いているが、ローマ史に関して日本ではなぜか小説家や漫画家が幅を利かせていてアカデミックな立場からの発信が乏しいと個人的に考えているので、本書の意義は十分あるのではないかなと思う。2020/10/17
TS10
22
美化も貶めることもせず、等身大のカエサルの生涯を辿る。内乱と強権統治を繰り返した共和制末期のローマにあって、特別な英雄としてではなく、あくまで一人の政治家として生きた軌跡が描写される。好敵手が居たときには、カエサルの名誉欲は許容されたが、頂点に立った暁に、それは嫉妬と憎悪を買うだけであったとの指摘が面白い。カエサルの人格と共和制の理念とは共存できなくなっていたのではないかと思われる。理念のみならず既得権益にも固執する泥臭く人間的な同時代人たちも相まって、共和制末期ローマの魅力が感じられる一冊。2024/05/27
崩紫サロメ
21
「供給過剰」と著者が言うところのユリウス・カエサルの評伝であるが、意外とあるようでなかったものである。多くのカエサル伝は、歴史家や、歴史小説家によって書かれていたが、本書の著者は西洋古典学(ラテン文学)を専門としており、カエサルの生涯を扱いながらも、やはりその作品『ガリア戦記』や『内乱記』のレトリックに着目しており、その点は新鮮。三人称と間接話法を用いることにより、逆に強い誇りと自信を見せ、『内乱記』では相手の圧政とそれに抵抗する自分を演出しようとする、など。2020/10/26
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