内容説明
南海の無医島に赴任した青年医を襲った恐怖の元凶とは? 人気作家の私家版秀作集、堂々登場! ――南の無医島に赴任した青年医を待ち受けていたのは、島の奇妙な風習。それは、美しい自然に似合わぬ人間くさいものだった。やがて島に発生した伝染病の謎とは? 恐るべき惨劇の真相とは? 超人気作家が20余年前に自信を込めて私家版とした「幻の名作集」が、堂々とよみがえる。ファン必読の作品集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
210
西村京太郎さんの第6作は自費出版された秀作全5編を収録する初の短編集ですね。本書の内容はサスペンス推理に人間心理の謎を絡めて鋭く斬り込んだ作品集ですね。『南神威島(みなみかむいとう)』南の無医島に赴任した青年医師が見た島民達の残酷な娯楽の鳥殺しの風習。島に疫病が発生した時に島民達が選んだ行動の真意とは?人間の怖ろしさ・残酷さに戦慄し震えます。『幻想の夏』父の再婚相手の美しい母に心を奪われ父の死後も密かに彼女を愛し続ける青年。旅先に作家の男が現れて醜悪な人間性の真実が露になり、ショッキングなラストを迎える。2023/10/31
夢追人009
124
1970年5月に西村氏ご自身で自費出版された6冊目の著作となる初期作品集。全5編を読んだ率直な感想は著者がミステリーとしての評価や商業的な成功を少しも意識せずに自分の書きたい事を素直に表現されているなという思いですね。それと同時に五編全てに新鮮な驚きと文学性があって西村氏の真剣な熱意と気迫を強く感じましたね。こういった味わいは小説家としてこなれたプロ作家の作品からは中々感じ取れない貴重なもので少々未完成でもいいからぜひとも読みたいと思うデビューしたての作家ならではの輝きがあって大きな魅力に満ちていますね。2018/03/30
セウテス
63
〔再読〕1960年代に書かれた5作の短編集。もし、作者名を隠して本作を読んだとするなら、西村京太郎氏の作品と分かる人は居ないのではないのか。トラベルミステリを量産する前の、初期の本格や社会的な西村作品が好きな私も、驚きを通り越して異質な文章に固まってしまったのを覚えている。どの作品も、一見不合理な事件に見えて、深く掘り下げると独自な世界の特質な論理が、ずっしりと存在するのがわかる。社会的弱者に対する問題提起や、社会に適応出来ない精神的問題を、ミステリの事件の中に見事に取り入れ、小説としても読み応えがある。2017/05/09
オーウェン
51
南神威島に赴任した医者。 だがそこは閉鎖的であり、奇妙な風習がやり取りする場所。 そして島には伝染病が発生し、島民や医者自身も感染してしまう事態に。 ゾワッとさせるホラーなのかと思っていたが、感染者に対するワクチンから疑心暗鬼になる。 ラストの不穏にさせる雰囲気。 イヤミスのようにさせてのホラーという締め。 短編でも充分楽しめた。2023/10/12
あつひめ
24
21年ぶりで再読。高度成長期の日本人の心が見えるような作品集で言葉や単語に時代を感じることができる。今ではNGなこともその時代には許されることで、懐かしくなってしまうこともあったり。西村さんの描く人の心の闇がじわじわとにじみ出るようでトラベルミステリーに出てくる人物たちとは違ったところがとても新鮮に思えた。2024/07/06
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