内容説明
生きることは難しい。けれど人間には仲間がいる。――大地震の傷跡が残るハイチで、中東・アフリカから難民が集まるギリシャの島で、フィリピンのスラムで、南スーダンからの難民が100万人を超えたウガンダの国境地帯で。作家・いとうせいこうが「国境なき医師団」の活動に同行し、世界のリアルな現場を訪ねて描いた傑作ルポルタージュ。日本の小説家がとらえた、「世界の今」と「人間の希望」とは?
生きることは難しい。けれど人間には仲間がいる。――大地震の傷跡が残るハイチで、中東・アフリカから難民が集まるギリシャの難民キャンプで、フィリピンのスラムで、南スーダンからの難民が100万人を超えたウガンダの国境地帯で。作家・いとうせいこうが「国境なき医師団」の活動に同行し、世界のリアルな現場を訪ねて描いた傑作ルポルタージュ。日本の小説家がとらえた「世界の今」と「人間の希望」とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
17
国境なき医師団の現場への訪問記。短期間の訪問のようだが、見聞をもとにした作者の思いがよく綴られている。描写は詳しいので現場での医師団の活動状況、内容はよくわかる。作者の文体や文調には好き嫌いが出ると思う。2021/01/23
カイエ
14
感想がどうこうというより、MSF(国境なき医師団)の活動に賛同するかしないか、賛同するなら、次はどう行動するか。そう問いかけられる本でした。少なくとも私にとっては。ほんの僅かですが本日寄付をしました。続刊も買う予定です。2021/01/08
ヘジン
13
地震後のハイチ、シリア難民が流れ着くギリシャ、南スーダン難民を受け入れるウガンダ等での「国境なき医師団」の活動のレポート。緊急援助だけでなく、フィリピンでは長期にわたってリプロダクティブ・ヘルスケアに従事したりもするとか。医師やスタッフのたゆみない尽力が、ただでさえ厳しい状況に置かれているサバイバー達の心身の健康を支えている。医療行為は無理でも、「自分のできることをして誰かを助ける」というのは私にも、誰でも、誰に対しても、どこにいてもできること。本書の売上の一部は同団体に寄付されるそう。良い本だった。2022/07/22
真琴
13
「国境なき医師団」という名称は聞いたことがありましたが、具体的にどのような場所で、どのような活動をされているのかは知りませんでした。 今回は、ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダでの活動のルポタージュです。2021/03/27
椿 釦
13
ジャーナリズムよりは小説家の目線が強い本だった。いい意味で。報道的な意味や、社会問題の提議もあるけれど、それよりも出会った人や見てきた景色や、その後ろにある背景や人間であるゆえに抱える感情や行動がもたらす心の動きに重きを置いている。とはいえ、いとうせいこう氏の知的さは文章を読めば分かるように、感情論にはなっていない。物語を紡ぐ人の目線で世界を見る、とはこうゆうことか、と。世界には困難、苦難を抱えた普通の人達が沢山いて、その人達に日々真摯に向き合っている人達も多くいる。そんな事を知らなくても生きていけるが、2021/02/07