講談社選書メチエ<br> 現代民主主義 思想と歴史

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講談社選書メチエ
現代民主主義 思想と歴史

  • 著者名:権左武志【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 講談社(2020/12発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065220443

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内容説明

日本では民主主義(デモクラシー)の使徒とみなされるルソーが、欧米では全体主義の思想家とみなされるのはなぜか。なぜ、民主主義はナポレオンやヒトラーのような独裁を生み出してしまうのか。民主主義は何に敗北してきたのか。そもそも民主主義とはいったい何なのか――。
 本書は、民主主義、そして民主主義の双子ともいうべきナショナリズムをめぐる思想がどのように生まれ、変容してきたのか、原点であるフランス革命の基盤となったルソー、シィエスの思想にさかのぼり、トクヴィルやJ・S・ミルによる自由主義者からの民主主義への反論、世界大戦期ドイツのヴェーバーとカール・シュミットの思想、さらに全体主義批判を踏まえた冷戦期のアレント、ハーバーマスを経て冷戦終結後の現在に至るまで、思想家たちが生きた時代的背景とともに、一気呵成に描き出す。
 民主主義とはなにか、この根源的な問いの答えは、幾多の血を流しながら民主主義が歩んできた歴史のうちにこそ見いだされる。著者渾身の民主主義思想史!!


【本書の内容】

はじめに

序章 民主主義のパラドクス

第1章 近代民主主義とナショナリズムの誕生
 第1節 フランス革命とルソー、シィエスの思想
 第2節 ドイツ・ナショナリズムとフィヒテの思想

第2章 自由主義者の民主主義批判とナショナリズムの発展
 第1節 民主主義革命とトクヴィル、ミルの思想
 第2節 ナショナリズムの統一運動と民族自決権の思想

第3章 民主主義観の転換とナショナリズムの暴走
 第1節 第二帝政期ドイツとヴェーバーの思想
 第2節 ワイマール期ドイツとカール・シュミットの思想
 第3節 民族自決権の適用とその帰結

第4章 民主主義の再検討とナショナリズムの封じ込め
 第1節 全体主義批判と民主主義論の再構築
 第2節 民族自決権の受容と回帰

結び 冷戦終結後の民主主義とナショナリズム
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

13
民主主義とナショナリズムについて、ルソーやシュミットらの思想と、フランス革命から冷戦終結に至るまでの歴史を並行して説明していく。思想家ごとの比較が明確で、時代の流れで思想の特徴を把握できるため、とてもわかりやすかった。最後は現代日本政治に対する著者のメッセージで締められており、テーマが一貫していた。2022/05/13

politics

6
本書はフランス革命に発する民主主義思想の発展史とナショナリズムの歴史を探求している。著者はハンスコーンの古典的なナショナリズム観に依拠しながらも、レーニン、ウィルソンらの民族自決権も主題にしながら考察している。そしてルソーの民主主義論やヴェーバー、シュミットのカリスマ・人民投票的民主主義論を批判的に見ている。ただ西欧を中心として歴史を辿りながらも、結びにて日本の政治状況に当て込むのは安易ではないだろうか。しかし幅広い思想家が取り上げられており近代政治思想、民主主義論を見渡すには打って付けではあろう。2021/03/09

瀬希瑞 世季子

3
近代革命の産物として生まれた内発的ナショナリズム(ルナン)と外国征服の産物として生まれた外発的ナショナリズム(フィヒテ)のふたつの類型。前者は個人の主観的願望・意欲という主観的基準で定義され、前近代的民族意識から断絶していたのに対し、後者は言語・宗教・歴史の同質性という基準で定義され、前近代的民族意識と連続する傾向が見られる。2024/11/17

Go Extreme

3
民主主義のパラドックス 近代民主主義とナショナリズム誕生:フランス革命とルソー、シィエス ドイツ・ナショナリズムとフィヒテ 自由主義者の民主主義批判とナショナリズム発展:民主主義革命とトクヴィル、ミル ナショナリズムの統一運動と民族自決権 民主主義観の転換とナショナリズム暴走:第二帝政期ドイツとウェーバー ワイマール期ドイツとカール・シュミット 民族自決権の適用とその帰結 民主主義の再検討とナショナリズム封じ込め:全体主義批判と民主主義論再構築 民族自決権の受容と回帰 冷戦終結後の民主主義とナショナリズム2021/02/09

3
主流としてフランス革命期から現代までの民主主義思想史、傍流としてナショナリズムの歴史、そして両者のつながりを「人民投票」などの手法を媒介にしつつ論じる。ルソー的な純粋民主主義観の危険が、ミルやトクヴィルによる是正が試みられながらも、ウェーバー、そしてシュミットにおける指導者民主主義へと結実し、それはヒトラーのカリスマ的支配の一因となる。戦後はアーレントやハーバーマスがそうした全体主義支配の克服を理論化した。終章は筆者の主張(他の論者への批判)が強く出ているが、思想史家の現代政治批判としておもしろい。2020/12/30

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