内容説明
戦没学徒の遺稿集『きけわだつみのこえ』、この感動の書が改ざんされ、政治利用されたことはあまり知られていない。戦没学徒の叫びは、いかに踏みにじられたのか。戦後の反戦運動の行き過ぎた一面を描く、著者の隠れた名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
31
遺稿集にイデオロギーを入れて、編集部が手を加えるのは、外国文献の訳者が恣意的に内容に手を加える(わが闘争や岩波版紫禁城の黄昏等)のと同様な卑劣の行為であると感じます。また戦没学徒の戦争犯罪を一部のわだつみ会員が主張している話もそもそも論として異常と感じました。2025/03/14
かふ
19
そもそも本の題名を歌人が付けたもので古語の海の神(天皇の下で藻屑)になるという意味なのだった。そのときに死者を神と崇めるか藻屑となった事実を受け止めるかの違いなのかもしれない。最初に渡辺一夫のまえがきがあり、当時、右翼的な声も収めるべきという意見があったが反戦ということで手記を統一したいという思惑があった。ちょうど発表される前後に朝鮮戦争があってGHQの方針も民主的国家の樹立からレッドパージに変わっていく時期だったので、そのような政治的内紛が起きたのだろか?と読んでいた。2025/06/26