内容説明
医者の泰山が、ある朝、小烏神社の竜晴を訪ねると、鳥居の下に無残な蝶の死骸が置かれていた。気にする素振りもない竜晴だったが、翌朝も同じ場所に蝶の骸があり、誰の仕業か見張ることに。そこに姿を現したのは、葵の花を手にした美しい娘だった。蝶については何も知らないと言うが......。花に隠された想いは、女の恋心か、それとも野心か。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
50
抜丸が鷹を憎んでいる話を聞いて確かに勝手に割り込んで勝手な理屈で鷹に加勢した人間が悪いのに人間が語るから悪者は蛇になってしまう。 今回出てきた死霊の妬みは普通に現代でも通じると思う。結局声の大きい人が勝者となる現代社会をみると何も変わっていないんだな、と。これが人間の罪かな。 あと次巻に続きそうな不穏な動き。続きが待ち遠しいです。2020/12/24
はつばあば
43
タチアオイと言う花はスクっと立っている中で華やかさとともに傲岸さを感じてあまり好きになれない花ではありますが(;´∀`)。平家物語の登場人物の中でも小松殿は大好きです。いい人は早死になさいますよねぇ。?天海和尚が長生きだったのは悪人?(笑)いやいやそういう事は無いでしょうが。宮司さんモテますねぇと思ったらなんと死霊に身体を乗っ取られた娘さんだったんです。死霊は今の時代のイジメに相当するのかも。子供達の自死を誘発するSNS?悪霊や死霊と同義語かも。烏と白蛇の付喪神に鷹まで登場する2巻ですが3巻目にいきます 2021/09/30
ちゃいろ子
28
歴史好きの心をくすぐるネタがいろいろ出てきて楽しい。 付喪神の仲の悪さも可愛いし 主役である宮司賀茂竜晴の魅力が◎。 2024/05/25
豆乳くま
14
小烏神社の宮司竜晴を巡り女の戦いが勃発か、と意外に思ったがそこは奇譚。女の情念が取り憑いた娘が巻き起こす騒動。更に江戸の裏鬼門芝で結界が綻び怪異が。平家の血筋である伊勢殿が、カギを握っていそうな展開。敵なの?味方なの?付喪神の記憶は?ちょっとワクワク。2021/05/05
ゆうこ
10
前回にも増して残酷な話でした。『言い勝ち功名』今で言えば、言ったもの勝ちと言うこと。遠慮して黙っていることで自分の思いが伝えられないとしたら。それが後悔としていつまでも残ったとしたら。『悪事も一言 善事も一言 一言で言い離つ神 葛城の一言主』。普段の優しい物腰も竜晴からは考えられない強い言葉。言葉の力を感じます。平家物語で、私が考える唯一の常識人が平重盛公ですが、これからどんな形で登場してくるのか、こちらも楽しみです。2023/04/12