内容説明
ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのか──新版でおくる、永遠の名作。解説/高橋良平
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Apple
149
夏への扉というのは、よい未来へ続くドア、ということなのかなと思いました。時間旅行もののSF小説である本作を読んで感じたのは、主人公ダンのようにコールドスリープを(とくに繰り返したりすると)相当肉体への負担がかかってキツイのではないかということです。ピートという大事な相棒の猫が登場し、主人公(作者?)の猫愛が溢れているわけですが、あんまり猫好きじゃないと同意しかねる部分が多々出てきそうだなと思い、その点ではベルも全く間違っているわけではないかもしれません。ダンはかなり行動力に優れた発明家だと思いました。2022/11/27
ねりわさび
116
1950年代にハインラインが描いたSFロマンス小説。六週間戦争と呼ばれる未来大戦を経て、主人公の一途な恋心が時空を超えて結末へ向かう流れは、現代では食傷気味ではあるのですが発売当時は傑作級のアイデアだったと思います。探索好きの猫の行動がラストシーンへの謎かけになっていて、センチメンタルな物語で印象に残りました。面白かったですね。2023/09/01
松本ぼんぼん
109
ずーと前に買ってあった本。山下達郎の「夏への扉」の歌詞の意味が知りたくて。1956年発表(私のうまれる前)のSF。 いや~、小説内の2001年は現実のさらに先を行っているものもありました。話の展開が早くかつ過去・現在・未来が錯綜し一気に読まないと内容がわからなくなります。しかし、名作だけにとても面白かった。 ピート、リッキー・ティッキー・ティビーが何なのかわかり、スッキリしました。今なら映画化されてもいいかなと思いました。時代の変更は必要ですけど。2023/03/15
いなとも
109
SFの名作中の名作らしいので期待して読んだ。前半はあの裏切者達がもう胸くそ悪いったらないが、中盤からラストにかけては胸のすくような展開。登場人物もそれほど多い訳でもなく読みやすかった。2022/08/31
むっしゅ
104
有名古典に興味持ち拝読。 内容は猫飼い技術者が失った物を取り返す時間旅行物語。 本編は時間軸で4部構成、表紙絵含め軽い話かと思いきや現実的で重く…(株/会社/裏切/特許/弁護士等)冷凍睡眠とタイムマシンで未来や過去に時間転位。 古典SFとに物語展開は他の本や映画で見たことあるなと思う場面多々、本内で描かれるロボ等発明品が現在出来つつことに驚き。本著の影響力の大きさや著者の想像力の凄さを感ず。話的には1部衝撃展開から時空を超えた主人公の思考や行動力に感心。復讐でなく防止策/未来の自分を守る工夫。未来に希望!2025/07/21