芥川賞候補傑作選 平成編(1)

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芥川賞候補傑作選 平成編(1)

  • 著者名:鵜飼哲夫【編】
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 春陽堂書店(2020/12発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784394190066

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内容説明

平成元年の第101回から第113回までの芥川賞候補作のなかから、「いま読んでも面白い作品」全9篇を厳選。人気作家の初期作品、これまで書籍化されたことのない作品など、知られざる傑作を掲載。直木賞作家・車谷長吉の芥川賞候補作と、その落選の苦悩と恨み辛みを描いた「変」も特別掲載。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

竹園和明

37
飽和状態に近いくらいの湿気を帯びた厭な空気がまとわりつくような感じ。水道料金滞納家庭の停水執行を任務とする市の水道部職員岩切と木田を描いた河林満『渇水』の、薄暗く粘り気の強い文章と絶望的なエンディングに驚かされた。芥川賞候補最多の6回を誇る多田尋子『毀れた絵具箱』は、地方から上京し画学生となった朋子と彼女にひたすら奉仕する画材店員藤倉の奇妙な関係を描いた物語。気味が悪いと思いつつ送り迎えや荷物持ちなどで藤倉に依存する朋子と黒子に徹する藤倉に、平成三年当時の審査員の先生方は昔とのギャップに困惑したのでは?!2023/05/21

sakadonohito

11
誰かの感想で気になっていた河林満の「渇水」だけ読んだ。自分は割と好きだけど惜しい作品だとも感じた。長期間水道料金未納の家庭に訪問し、停水する水道局職員を主人公にした作品で、料金徴収と停水判断する側の葛藤?と諸事情で水道料金を払わない人達の態度・思惑あたりが読みどころ。幼い姉妹の結末の扱い方にもう少し踏み込んでいれば芥川賞とれたのかもと思ってしまった。同梱されている他作品は少しずつ読んでみるつもり。2022/03/12

5〇5

9
「平成編ということで、前巻の戦前・戦中編からグッと時代が下ってずいぶんと読みやすくなったね」 「うん、内容もスタイルもさまざまだし、その時代の前を走ってる感もあって面白い」 「あと、車谷長吉の特別掲載作品『変』が、とにかく生々しくてびっくりだよ。落選後に丑の刻参りで選考委員を呪うんだもの」 「この負の執念は、太宰治を思い出しちゃった(笑)」2020/12/20

押さない

4
『乾水』水を差し押さえる職業の着眼点が面白い。姉妹が亡くなる展開は安直だ。『琥珀の町』手堅いが、その分印象に残りにくい『☆毀れた絵具箱』あとずさりしながらコンタクトを取っても泥のように彼は纏わりついてくる。「あなた(レベル)には僕しかいない(ように仕向けていく)」『☆アンダーソン家のヨメ』自由と思い描いていたはずのアメリカは…。夫婦別姓、国籍、親戚関係の煩雑をマドコも夫も全て等しくおふざけて眺める筆致だ。一息に長文が続くパートは饒舌である。↓2023/12/12

読書日記

2
①琥珀の町②毀れた絵具箱③キオミ④漂流物⑤アンダーソン家のヨメがお気に入り。①『老人と海』を、マノーリン側の人生を主軸に別角度から掘り下げた感じ。②恋愛小説というので最後は好きになると思ったが、男の方は前世から君を知ってましたレベルの尽くし方をするのにも関わらず結局嫌いなままで終わる。これが大人の恋愛小説かという衝撃。③痴人の愛より断然エロい。ラストシーンは『軽薄』の男女逆バージョンかな。④人生のやるせなさを描いた赤裸々な言葉に胸を突かれた。書ききれないが、まとめると、小説には色んな形があるのだと学んだ。2024/01/26

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