ちくま新書 ヴェーバー入門 ――理解社会学の射程

著者名：中野敏男【著者】

筑摩書房（2020/12発売）

• ISBN：9784480073600

内容説明

社会的行為の動機を理解し、その内面から人間と社会のあり方を考える。これが、近代社会学の祖とされ、社会科学全般に決定的影響を与えたマックス・ヴェーバーの学問の核心にあった。だが、奇妙なことに従来の議論では、彼自身のこの問題意識が見落とされている。本書では、ヴェーバー思想の根幹に「理解」を位置づけ、その業績全体を、理解社会学の確立に向かう壮大なプロジェクトとしてとらえなおす。主要著作を丹念に読み込み、それらを貫く論理を解き明かす画期的入門書。

目次

はじめに──ヴェーバー理解社会学を再発見する
第１章　ヴェーバー理解社会学の誕生
１　動機の理解に関心を寄せる
２　なぜ理解を方法とするのか──二つの流出論批判の意味
３　理解はどうして可能なのか──解明的理解への道を開く
４　理解を学問方法にまで鍛える
第２章　理解社会学の最初の実践例──『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読む
１　理解社会学の起動
２　「資本主義の精神」の解明的理解──理解社会学の「問題の立て方」
３　「禁欲」の動機理解──プロテスタンティズムの価値分析
４　禁欲と資本主義の精神──その帰結から始まる問い
第３章　理解社会学の仕組み──『経済と社会』（『宗教ゲマインシャフト』）を読む
１　理解社会学の基礎論としての『経済と社会』
２　基礎概念の編成──行為と秩序の緊張
３　『宗教ゲマインシャフト』の成り立ち
４　宗教倫理への問いを定位する──救済宗教への視角
第４章　理解社会学の展開──『世界宗教の経済倫理』を読む
１　比較宗教社会学への展開
２　「物象化」という問題視角
３　儒教とピューリタニズム
４　普遍史的関心の射程
おわりに──理解社会学における「近代」の問題
注
あとがき
『宗教ゲマインシャフト』パラグラフ一覧
マックス・ヴェーバー著作年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[Ex libris 毒餃子]

ヴェーバーの新書ではあまり触れない「理解社会学」について、論じた本。入門レベルを越えて、ヴェーバーをガチで研究していく人向けの「入門」だと思う。

2020/12/13

[Go Extreme]

ヴェーバー理解社会学の誕生：動機の理解に関心を寄せる なぜ理解を方法とするのか　理解はどうして可能なのか　理解を学問方法にまで鍛える　理解社会学の最初の実践例：理解社会学の起動　資本主義の精神の解明的理解　禁欲の動機理解　禁欲と資本主義の精神　理解社会学の仕組み理解社会学の基礎論としての経済と社会　基礎概念の編成　宗教倫理への問いを定位する　理解社会学の展開：比較宗教社会学への展開　「物象化」という問題視角　儒教とピューリタニズム　普遍史的関心の射程　理解社会学における近代の問題

2021/04/16

[波龍]

今までのヴェーバーに対するステレオタイプなイメージとは異なる切り口で、内容が丁寧に書かれています。決して平易な内容ではありませんが、丁寧に読みこめば一つ一つ理解を積み重ねられる「入門」書と言えると思います。

2021/03/24

[TM]

マックスウェーバーの著作につき，その枠組みを「理解社会学」として位置付けて，当該枠組みをベースに各著作を読み解き，その論理を浮き彫りにしていこうとする本。興味深い内容だけど，正直「入門」というレベルではなく難解。もっと太い本にして，行間を埋めながら「入門」として出版してほしい内容だった。

2023/01/13

[おっきぃ]

ヴェーバーという人がどのような社会学を構想して実践したのか、それが全体の業績としては一面的だったとしても、新しい学問を作ってどこまで見通していたのかが、時にくどいほど丁寧に語られる。前に読んだ今野氏の著作、読むんじゃなかったと、少なくともこちらを先に読むべきだったと後悔。

2021/02/21