内容説明
生物は幾度もの大量絶滅を経験し、スノーボールアースや酸素濃度といった地球環境の劇的な変化に適応することで進化しつづけてきた。宇宙生物学と地球生物学が解き明かす、まったく新しい生命の歴史!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
69
地球史、古生物学は、つねに塗りかえられていることを改めて感じ入った。分厚さの中に、驚くような知見があふれ、読み通すまでに、ものすごく時間がかかった。21世紀に入ってから判明した事実には目のウロコが落ちる。前世紀に出た本など、歴史的文献になってしまいそうだ。私の好きなエディアカラ生物(笑)が、どうして化石として残ったのか。その理由から当時の環境を復元できることに恐れいる。もっとも興味深いのは、生物がどうやって無生物から生まれたか。本書を読むと、ミラーの実験やオパーリンの仮説が実に素朴だと感じられるはず。2020/05/15
シタン
22
この世で一番面白い歴史は生命史だと思っている。マルチメディアこどもずかんの恐竜編を遊び尽くした少年時代は宝物(宇宙編も)。科学の醍醐味の一つは更新性にあり。過去に得た知識はすぐ古くなるし、2015年に書かれたこの本の内容も既に古い可能性あり。その一方で、たとえ間違っていても文学として読み継がれるべき書物が存在してしまうのは何故なのか。本書でも言及があるワンダフルライフなど。残念ながら本書はそれには当てはならないと思われる。キーワードはスノーボールアース、酸素濃度、パンスペルミア説(ゼノギアス好き必見!)。2020/10/29
J
14
★★★☆☆ タイトルの生物の誕生だけでなく、40億年の生物史が新たな研究の成果と共に語られる。その中で、酸素/二酸化炭素濃度の推移と繰り返された絶滅が一貫した主題となっている。少し専門的な話に入りすぎて興味が途切れそうな部分もあったが、全般にとても面白く読めました。現在は、気候変動と人間の活動による絶滅期とか…2024/03/09
でろり~ん
4
とても興味深く読みました。好い一冊。そですよね、生きていくうえで当然考慮しなければいけない環境ってものに、こういう形で言及した本に初めて出合った感じです。でもあれだ、タイトルの邦訳の「なぜ」はどこにも無いですね。ただNEW HISTORYなんだから当たり前なんでしょうけれど。ウマイ訳だとは思いますが、してやられた感じもします。解りやすく、といいながら、こういう文章を訳すのは難しいんでしょう、とは思いながら、日本語的に文意が不明な個所もありました。ま、読む側の頭のレベルといわれればそれまでなんですけれどね。2020/05/19
zeroset
2
日本語の書名だけ見ると生物の起源に的を絞った本のようだが、原題は”A New History of Life”とある様に、生命史全体を扱った大著。隕石衝突やプルーム、プレートテクトニクス、更には生物自体が原因となった物質循環の変動が、生物圏の運命を決めていく。これを読むと生物の歴史とは本当に薄氷を踏むような歩みであり、ほんの少しのパラメータやタイミングの違いで、知的生物はおろか真核生物やそれこそ生物自体が生まれなかった可能性もあったのだと思いを致させられる。2021/01/01