文春e-book<br> ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

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ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?

  • ISBN:9784163913049

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内容説明

本書は毎日新聞のキャンペーン報道「優生社会を問う」をベースに、
担当した2人の記者が書き下ろしたものです。

旧優生保護法が改正されて四半世紀近くが過ぎましたが、
障害者への社会の理解は深まったのでしょうか?
障害者を取り巻く環境は改善されたのでしょうか?

新型出生前診断(NIPT)が拡大するのを利用した数多のクリニックの「検査ビジネス」は急成長中で、
「不安ビジネス」として社会問題化しています。
障害者施設が建設される際、いまだに周辺住民の反対運動が、最初の大きな壁となります。
そして、実の親による障害児の社会的入院、治療拒否……。

障害者入所施設・津久井やまゆり園(相模原市)での大量殺人が世間を震撼させている今日、
いまだ弱者が切り捨てられるわが国の現状を検証します。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

85
新型出生前診断・着床前診断・ゲノム編集という出生に関わる問題と、障害者施設建設反対運動・社会的入院・相模原殺傷事件など障害者受容の社会的問題を問う渾身のルポである。医学・科学が専門の千葉さんと、福祉や医療に詳しい上東さんという二人の毎日新聞記者による両面からのアプローチが鋭い。底流を流れるテーマは「優生思想」。我が子の出生の選別には利己的でありながら、社会的な問題には排他的になる自分たちの中に、優生思想が潜在していることに気付かされる。「健康」と「優生」とが紙一重の危うさにあることなどにもハッとする。2021/02/13

遊々亭おさる

29
相模原殺傷事件の遠因だとも言える我々が生きる社会が抱える優生思想を出生前診断などによる医療ビジネスや障害者グループホームを巡る地域住民の反対運動などから炙り出した一冊。人間の価値とはなんぞや?批判が殺到した杉田議員の生産性が人間の価値だとする考えは、働かざる者食うべからずとする我々の価値観と根は同じではないかと感じる。植松死刑囚も杉田議員と同じ価値観を口にした。我々は植松死刑囚の価値観を否定することに後ろめたさを感じているか。コロナ渦で命の選別が議論された。それは我々も持つ優生思想と向き合う好機でもある。2021/02/17

読特

29
「なかったことにしたい」「遠くで暮らして欲しい」「生まれないで欲しい」。それが本音だとしたらなんと悲しいこと。傍観者として眺めているだけならなんとでも言える。「現実は過酷だ」当事者にそういわれたら、返す言葉はない。「ほっと一息つく暇もない」それでも幸せは思わぬ瞬間に感じるもの。自分も家族も健常で、一見平穏な暮らしにみえても、生きていくのは楽ではない。ハンデがある人もそうでない人も、身近にいて、助け合いながら暮らして行く。そんな古くて新しい世の中であったらいい。いろんな問題を読み進めながらそう思った。2021/02/14

ロア

26
危険を承知で語り合いたい本。全員がそれぞれの立場で少しずつ違う意見を持つだろうし、時代と場所が変われば答えも180度平気で変わると思う。私達の誰にも正しい答えなど出せない。2021/02/15

崩紫サロメ

23
「命に優先順位をつけること」に関する様々なテーマを取り上げる。妊婦の不安を煽り、「不安ビジネス」と化している出生前診断」。異常があった場合には9割の人が中絶を選ぶというが、それは個人の決定だけではなく、強い母性愛規範が女性を追い詰めているし、福祉施設ができれば「地価が下がる」というような社会的圧力がある。やまゆり園の件に関して、園における障害者虐待こそが犯行に至らせた原因ではないか、とも指摘する。今も、「生ませない」圧力が強くある。そういう選択をするような圧力が。どこかでそれに自分も加担しているのだろう。2021/02/23

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