ODAの終焉 - 機能主義的開発援助の勧め

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ODAの終焉 - 機能主義的開発援助の勧め

  • 著者名:浅沼信爾/小浜裕久
  • 価格 ¥3,520(本体¥3,200)
  • 勁草書房(2020/12発売)
  • ポイント 32pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326504404

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内容説明

本書は、現在のODAへの違和感と危機感を表明しようという目的で書かれた。開発の現場近くで仕事をしてきた著者達にとって、MDGやSDGは夢の議論のようでその非現実性に強い違和感を抱かざるをえない。ODA自体が存亡の危機にあるのではないかという危惧感さえ抱く。ODAの将来の方向性についての議論を呼び起こす一冊。

目次

はしがき
序章 ODAの新しいパラダイム

第1章 ODAの半世紀とその実績
 第1節 イントロダクション:ODAの起源
 ボックス1 ブレトンウッズ会議
 第2節 ODAの量的拡大と展開
 ボックス2 ODAの定義
 第3節 「制度化されたODA」とその展開

第2章 途上国経済の発展
 第1節 イントロダクション:第2次世界大戦後の途上国経済
 第2節 輸入代替工業化路線とその帰結
 第3節 輸出志向工業化路線とグローバリゼーション
 第4節 途上国の経済発展:半世紀の記録

第3章 ODAパラダイムの変遷
 第1節 イントロダクション:ODAパラダイムの系譜
 第2節 ギャップ理論と開発プロジェクト援助
 ボックス3 IDAの起源
 ボックス4 ギャップ理論から債務の持続可能性分析へ
 第3節 構造調整政策のパラダイム
 第4節 MDGパラダイム
 ボックス5 「貧しさ」について

第4章 日本のODAの展開
 第1節 イントロダクション
 第2節 日本ODAの展開
 ボックス6 ODAはどっちで測る-ネット(純額)それともグロス(粗額)?
 第3節 日本ODAの理念と政策枠組み
 ボックス7 日本のODA大綱と開発協力大綱

第5章 迷走するODA
 第1節 イントロダクション
 第2節 MDGパラダイム再論
 第3節 「パリ宣言」:開発主体と援助体制(いわゆる「援助アーキテクチャー」)
 第4節 ODAの現状:機能不全に陥ったODA体制
 ボックス8 ミレニアム村落総合開発プロジェクト・プロファイル

第6章 途上国の成長戦略とODAの役割
 第1節 イントロダクション:MDGsの教訓
 第2節 「トラック・ワン戦略」と「トラック・トゥー戦略」
 第3節 途上国成長の要件とODAの役割
 第4節 失われるODAの意義と残された役割

終章 ODAをどう再構築するか
 第1節 イントロダクション:ODAの機能不全
 第2節 新しいODAのパラダイム
 第3節 「機能主義パラダイム」の勧め
 ボックス9 ラオスのナムチュン2水力発電プロジェクト
 第4節 ODAとドナー国の国益

参考文献
あとがき
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Sanchai

3
二度目の再読。「プロジェクト型援助」の規模感をある程度標準化して、小さく細々した協力を「プロジェクト」と呼ぶのはやめようとか、公共政策の策定への協力(機能主義という言葉の根拠もここにあるか)に特化していこうとか、ODAの現状を考えたら「そうだよな」と首肯させられる提言がかなり多い。いい本なんだけど、相変わらず誤植が目立つのと、居酒屋トークかとおぼしき共著者の1人によるあとがきがどうにも気になってしまった。2021/11/21

とある本棚

1
再読。ODAの起源や日本のODA政策の変遷を外観した上で、現在のODAが機能不全に陥ってると断罪している。特にMDSsやSDGsには手厳しく、目標が先にあって手段が明確に示されていないことに異議を唱える。殊SDGsについては、そもそも技術革新やイノベーションを頼るバックキャスティングで制定されている経緯もあることから、著者の指摘がどれほど妥当なのかは判断しかねるが、言葉だけが一人歩きしていることに対する危惧は理解できる。高邁な援助論でなく、地に足のついたODA政策が必要という指摘はもっともである。2021/06/24

Sanchai

1
再読。それにしても、誤植が多いね。誤植だけなら編集の問題だが、明らかな著者の認識の誤りも何カ所かある。コーデル・ハルは米財務長官じゃない、国務長官だから。インドのバンガロールがあるのはグジャラート州じゃない、カルナタカ州だから―――といった具合。主張は傾聴に値するのに、すごくもったいない。2020/12/03

kk

1
odaは開発の脇役に成り下がったにも関わらず依然、主役の振る舞いをする大根役者。辛辣や表現ではあるが適切に捉えている。 odaは従来、高尚な理論を唱えてしばしばそれにのみ議論を重ねてきた。これからは議論を終え、ともに手を動かし労働することが求められる。2019/08/12

Sanchai

0
勁草書房の本は高くてとても買えないから、図書館でずっと待っていたが埒が開かず、知り合いから借りて読んでみた。国際公務員が世界中でやっている自身の開発アジェンダのセールスに対して辛辣な発言をされているのは溜飲が下がる思いがしたが、一方で、「現在途上国経済が直面する深刻な問題で、先進国の開発援助機関やエキスパートが貢献できそうなものを選び、それを支援しよう」というところは、一人一人がエキスパートになって提言しろと言われているようで、身の引き締まる思いもした。2019/09/15

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