内容説明
ダイナミックに変化を続けるテクノロジー、ビジネス、そして私たちユーザー。急発展してきたインターネットも歴史を知らずして、ICTの未来は考えられない。標準化、ガバナンス、料金体系、表現の自由、経済学――多角的な議論を通じ、イノベーションを適切に促す「これから」の政策論を米国インターネット政策から学ぶための入門的1冊。
目次
日本語版への序文
謝 辞
はじめに
I インターネットを取り巻く技術的・経済的状況の変化
第1章 インターネットユーザー数の増加と多様化
1 インターネットユーザーとインターネットに接続するコンピュータの増加
2 利用者の変化
第2章 インターネット利用のあり方の変化
1 ネットワーク帯域の消費
2 ジッタ、遅延、そして信頼性についての感受性(センシティビティ)
3 1対1のコミュニケーションから1対多数のコミュニケーションへ
4 P2Pアプリケーションの登場
5 クラウドコンピューティング
6 アプリマーケットの登場と不可欠なプラットフォームの変容
第3章 伝送技術とエンドユーザー端末の多様化
1 伝送技術の多様化
2 ブロードバンドテクノロジーの技術的相違
3 次世代のネットワーク帯域の拡大に関する経済学
4 利用者端末の多様化
第4章 ネットワーク間取引の急激な複雑化
1 インターネット黎明期におけるトポロジー
2 プライベート・ピアリングポイント
3 マルチホーミング
4 セカンダリーピアリング
5 コンテンツデリバリーネットワーク
6 サーバーファーム
7 インプリケーション
II 政策の方向性
第5章 最適な標準の変化
1 消費者の嗜好の多様化による影響
2 テクノロジーの多様化による影響
第6章 インフォーマルなガバナンスの不可避的減少
1 緊密なコミュニティの重要性
2 スパムコントロール
3 ドメインネーム
4 輻輳対策
第7章 機能の中央集約化
1 ネットワークセキュリティ
2 輻輳対策
第8章 インターネットに関わる料金体系の複雑化
1 フラットレートプランからの乖離
2 投資インセンティブの重要性とラムゼイ価格
3 エンドユーザーに対する料金体系へのP2Pアプリケーションの影響
4 有償のピアリングと市場の二面性に関する経済学
5 料金体系の多様性を認めることの便益
第9章 通信媒介の不可避性
1 通信媒介によってもたらされる利益
2 最高裁による中間媒介の受容
3 インプリケーション
第10章 不完全な一元化と単一ネットワーク(One Screen)の神話
1 信頼性、ネットワークパフォーマンス、そしてコスト低減
2 テクノロジーとサービスにおける違い
3 インプリケーション
第11章 産業の成熟
1 供給側の理論
2 需要側の理論
3 取引コストに関する考察
4 事業戦略とインターネット政策に対するインプリケーション
結論
参考文献
訳者あとがき
索引