内容説明
誰もが、性的マイノリティである
「男/女」と単純に分類しがちな我々の性は、とても繊細で個別的だ。
だが今性を語る言葉は、あまりに人を対立させ、膠着させるものに満ちている。
巷間言われる「LGBTQをはじめとする性的マイノリティの多様性を認めよう」ではなく、
「そもそも性的マジョリティなど存在しない」という立場から
セクシュアリティとジェンダーをめぐる言説をあらためて見直すと、この社会の本当の生きづらさの姿が見えてくる――。
草食男子、#Metoo、セクハラやDVから、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒット、さらには戦後日本と父性の関係まで。
『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』などの評論で、この国の語り得ないものを言葉にしてきた作家が、
具体的なトピックから内なる常識に揺さぶりをかけ、いまだ誰も語り得ない言葉で新たな性愛の地平を開く、全霊の論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
47
上野千鶴子さんの昨年の東大入学式式辞の話を読み、購入。女性による性的多様性について書かれた本。なんと言って良いのか、本音心理告白朦朧体とでも言って良いような(失礼)書きぶりで、個人をそのままに受け止めてという思い?はわかるものの、皆が皆そうであるならば結婚、家族を一つの形とした社会の成立はおぼつかないのではないか。評価は難しい。前述の上野さん云々は、自分の主義主張を通すためには直接関わりのない他者を貶めてもよいのかという著者の主張に賛成。引用された映画など未見のものばかりで、住んでいる世界の違いを実感。2020/11/15
ナマアタタカイカタタタキキ
23
質の違いではなく、程度の差であって、私達は屡々同じ問題で悩んでいる。そもそもが普通に語ると抽象的になりがちなテーマなだけに、敢えて取り上げるのだからもっと論理的な内容なのかなと思って開いたら、想定外にポエジーな語り口で、うおおわからん、となった。それでも、想像できないことを簡単に推測したり、大雑把な分類にとらわれるようなことはせず、一人ひとり生まれ持ったそれぞれの条件の中から、自分にあったものを一つ一つ選び取って生きましょう、というメッセージは伝わった。2025/03/06
りらこ
21
性別なんて面倒なものがなければ良いのにとずっと思いながらこの本を読んでいた。 異性愛が実は一番理解もしにくい難しさに溢れているという筆者の視点は、目から鱗が落ちた。 2021/02/14
くさてる
20
『「性の多様性を認めよう!」と人々が言うとき、ヘテロは、その対象外だ』という冒頭近くの文を読んだときは、おお、と思った。それからの問題提起にもうなづけることは多かったのだけど、残念ながら、進むにつれてどんどん論旨が散漫になっていって、著者自身の自分語りが中心になっていく。まるでTwitterのツイートを再構成しているみたいだなと思った。面白かったですが、好き嫌いは分かれるかも。2021/03/20
Taka
17
著者とタイプが似ているなぁと思う。人間とはホルモンの乗り物。ホルモンの奴隷である。濁流がごとく感情が流れてきて、ぐじぐじうゆうゆかんがえて、なんとなく言葉を見つけて世界がわかった気になって。まだまだ自分は好きになれないし、セックスは嫌いだけれども、光を得た時の自分は大好きでたまらなかったりして。大好きな自分を守るためにとやかく理由をつけて拒否や無理難題。この人だ!と思ったり、勝手にどん底に落ちてみたりと忙しい。愛と性と存在のはなしとはいうけれど、著者のこのうだうだの内面に共感できる人にとっては面白い本2023/12/08
-
- 電子書籍
- 大阪マダム、後宮妃になる!(9) やわ…
-
- 電子書籍
- 誰にも言えない【タテヨミ】 14