内容説明
「小説を書きたい」とつぶやくあの子に近づきたくて僕はいま“夜のことを書いている――。
作家のpha(ファ)が自らの恋愛遍歴をベースに小説を書き始めたのは、“あの子と文章を見せ合うためだった。
手をつないだだけで気持ちいい女性、部屋のいたるところにカッターナイフが置いてある女性、上下に揺れながら彼氏ができたことを報告してくる女性。
これまでに出会ってきたさまざまな女性たちのことを思い浮かべながら小説を書いては送る。
“あの子には早々に告白して振られてしまうが、それでも関係性を保とうと書き続けた。
本書は同人誌即売会・文学フリマ東京で発表され話題を呼んだ『夜のこと』(全二巻)を大幅に加筆修正し、書き下ろし作品を加えて一冊にまとめた恋愛短編集。
phaにとってこれが初の小説となる。
<本文より>
今年の終わりに僕は四十歳になる。人生で一番恋愛沙汰が多かった三十代が終わろうとしている。
歳をとるにつれて、少しずつ恋愛感情や性的衝動が減退してきているのを感じていた。ならば、記憶と性欲が薄れてしまう前に、体験したことを書き残しておきたい、と思ったのだ。 シェアハウスで真上の部屋に住んでいた女性の話。ネットで知り合っていきなりセックスをした女性の話。カッターナイフをいつも手にしていた女性の話。夫と彼氏が両方いた女性の話。 そんな話を次から次へと書いては、僕は彼女に送り続けた。恋バナが好きな彼女は、送るたびに「面白い」と言ってくれた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シャコタンブルー
45
京都大学卒業後、就職するが働きたくなくて30歳でニートになり、シェアハウスを主宰する。日本一有名なニートと呼ばれた作者の経歴がユニーク。自伝的要素が織り込まれているのかもしれないが全編、恋愛とセックス、男と女の割り切った繋がりが書かれている。過去に付き合ってきた女性への思いや感情が淡々とつづられ「浅い」関係性を感じるが、現在思いを寄せている女性には執着をみせる一面も伺わせ「ぼく」の刹那的な生き方に次第に興味が募り一気読み。紺色に白字の文字、黒地に白字は「夜」を表現しているのかな!? 2020/12/18
あじ
30
のらりくらりを生業としているpha氏の私小説。“夜のこと”も思い付きと成り行きで営む。愛の交歓というより友情の記念碑みたいな、氏らしいカラッとした湿度で描かれていた。◆採用されている本文紙の光沢が強く、ライトや日光の照り返しが気になった。2020/12/06
Roko
13
この作品集はきっと、phaさんの体験を元にしているんだろうなぁと思いつつも、彼は決して特殊な人ではないなと思うのです。女性とつきあうときに「無理していない」なぁと思うんです。こんなことしたら嫌われるかなとか、ああやった方が喜ばれるかなって思うことはあるけど、結局は自分がやりたいようにやっているんだなって感じます。 内容も面白かったですけど、作品によってページのレイアウトが変わっているのがいいなって思いました。レイアウトが変わると文章のリズム感が変わるような感じがするのです。#NetGalleyJP2020/11/15
アノニマス
12
前半は特に生々しい話が続くのでphaさん1冊目にこれを選ばなくて良かったという気がしながらも全部読みきった。長期的な関係を続けることが息苦しいからという理由で今までの恋人と別れた話をまとめた本を渡されたら決定的にこの人と付き合うのは無理ってなるのではないかと思ったり。phaさんくらい社会的に成功している人でも世間一般で普通とされていることを遠ざけていることへの負い目ってあるんだな…。2024/06/12
lily
10
「日本で最も有名なニート」の肩書を持ち、京都大学総合人間学部のエッセンスを体現したような著者による、夜を綴ったエッセイ。どんなオタクエピソードが…と思いきやめちゃくちゃモテまくりじゃねーかと驚愕した一冊。こういうアンニュイな人がオトメゴコロを刺激するもんなんだろうか。「人生の選択肢というのは色々あるけれど、人はそのうち一つしか選ぶことができない。そして自分の選んだ選択肢を最善だと思い込むしかできない。そうやって生きていくしかないのだ。」その通り。2022/02/14
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