内容説明
国立の筑波大学を卒業したものの、就職することができなかった著者は、大阪西成区のあいりん地区に足を踏み入れた。
ヤクザ…、指名手配犯…、博打場…、生活保護…、マイナスイメージで語られることが多い、あいりん地区。ここで2カ月半の期間、生活をしてみると、どんな景色が見えてくるのか?
西成の住人と共に働き、笑い、涙した、78日間の体験ルポ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
289
著者略歴がいかしてる。「いかがわしい人々をメインに取材するも、次第に引き込まれ、知らないうちに自分があちら側の人間になってしまうこと多々」。で『西成』だから、さぞ面白いかと思って読んでみた。78日間ドヤに住んでみても、やっぱり分からないことだらけだった。それでいいのかも…。 こっち側とあちら側の境目は、茫洋としていた。2025/02/24
kinkin
109
国立の一流大学を卒業した著者が、大阪の通称あいりん地区で仕事をしながら底に住む人たちのことを中心に取材した本。あいりん地区には行ったことがないが報道番組で見聞きしたことがある。著者は日雇いの仕事をみつけ簡易宿泊所というところに寝泊まりする。そこには覚醒中毒や元やくざ、手配師、素性不明の男たちと出会う。ただそこからの取材の部分が浅掘りというか、暮らしている人たちの奇行紹介に終止しているようにも感じた。かれらを見て何のために生きているのだろうという感情の落とし所がイマイチわからなかった。図書館本2021/12/16
ニッポニア
66
力作。何も持たないライターが、ドヤ街生活を経験し、得た本ですね。何も分かっていない若者の戯言と思うなかれ、少なくとも、働き、眠り、飯を食う、このまず動く姿勢が見習いたい。さて西成ですが、まだこの現代にこの形態の街が存在するのだろうか、と思うけれど、きっとあるんだろうな。仮初の生活を送る人々は、それでもちっぽけな幸せを見つけて、生活保護を受けながらも暮らしている。現実を突きつけられた我々は、何をおもうべきか。2023/12/02
読特
64
解体現場で土工として働き、南京虫が巣くう飯場に泊まる。モノ同然に扱われ、安全確保は自己責任。昨日までは塀の中、酒と女とギャンブルの、訳アリ男たちと、その日暮らしをともにする。ドヤでスタッフとして働き、生活保護者の世話をする。飯を食べて用を足し、テレビを眺めて横になる。彼らは自由ではないが、喘いでもいない。鎖につながれた犬のよう。どんな生き方をしようとも最期は必ず命がつきる。「人生とは死ぬまでの暇つぶし」という78日間に耐えてみる。世の中きれいごとだけで片付かない。こういう世界もあって社会は成り立っている。2024/04/22
空猫
36
prime reading。大学卒業後就職できず、作家になることを決意。大阪、西成に潜入。一泊数千円の宿に住み、日雇い仕事や安宿の従業員で稼ぎながら過ごした78日間。前科者、元ヤクザ、薬中毒が逃げ込む場所という以外に堅気の人々も居場所を求めやって来るのだった。彼らの嘘の前歴も「そういう体で生きている」とスルーしてくれる鷹揚さがあり、金を払えば店員は奴隷扱いする傲慢さもあり、観察している分には飽きない。「死ぬまでの暇つぶし」として底辺の自分を受け入れて生きるしか無いのだ。文は拙いが濃厚な体験談だった→2024/09/18
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