新興大国インドの行動原理 - 独自リアリズム外交のゆくえ

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新興大国インドの行動原理 - 独自リアリズム外交のゆくえ

  • 著者名:伊藤融【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 慶應義塾大学出版会(2020/12発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784766426953

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内容説明

――戦略的自律というDNA――
日本にとって「重要だが理解できない国」インド。

中国が存在感を増すなかで、アジアの一大パワーを狙う、
インド外交の見えざる行動様式をあぶりだす。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紙狸

21
2020年刊行。インド外交の「DNA」というべき特徴を「大国志向」「自主外交」「プラグマティックな思考・行動」という3側面から考察する。3番目については、マウリア朝の宰相カスティリアに帰される書物『アルタシャーストラ』(実利論)の内容まで踏み込んでいく。紙狸は、インド外交といえばネール首相の非同盟と1990年以降の核武装を連想していたが、この本によって独立後のインド外交が線としてつながり、かつ2千年の伝統に触れることができた。日本人は中国については春秋戦国時代まで視野に入るが、インドも同様に古い。2023/07/07

Koki Miyachi

5
世界最大の人口を擁する新興大国インド。一方で、多角的外交を展開するインドは分かりにくい国という印象がある。その行動の根底にある原理や背景を解き明かすのが本書の眼目だ。筆者は国内の異なるプレイヤー、外交上の関わりがある各国や各陣営の視点を通して、鮮やかにインドの行動を説明する。ネルー以来の非同盟の信念、インド社会に古くから根付く考え方、周辺諸国との紛争、国内体制の脆弱さ、米中といった大国との関わり方、これらが混然一体となって全方位的戦略的外交に向かう理由が謎解きのように見えてくる。実に見事である。2023/08/17

Marcel Proust

4
世界最大の人口を抱え、日本にいても存在感を感じるインドだが、我々は現代インドをほとんど知らないのではないか。本書はインドを中心に見た南アジア地域の関係性と、古代から伝わる思考様式をベースにして、現代インドの自主性を保ちながら、実利を優先する外交の行動原理を解説している。「世界最大の民主主義国」の看板を持つが、多民族国家の中でヒンドゥー至上主義の指導者を持ち、強権的な統治と言論の自由の規制をするなど、著者はインドの報道されない負の側面も指摘している。類書が少ない中、現代インドを学べる大変優れた本だと思う。2024/01/17

tenorsox

4
インドの外交政策(とそれに関連する内政)の変遷について。 同国が3つの顔(南アジアの盟主、中国と並ぶ国際社会の次世代リーダー候補、発展途上国の利益代表)を持ち、それらを全うするために隣国(🇵🇰🇱🇰🇧🇩🇳🇵)や大国とどう向き合ってきたか&その背後にはどのような事情があったのかについて防衛大の准教授が一般人にも(多少は)理解できるよう丁寧にまとめている。 外交なんてどの国もそう単純ではないと思いつつ、それでもあの中国が仮想敵でライバルでたまに共闘というのは大変だろうなあと思いつつ読了。2021/05/18

RYU

3
理解できない国インドの行動原理について。インド外交には、DNAとして、大国志向、自主独立外交、アルタ的現実主義の3つを受け継いでいる。インド政治思想にはダルマとアルタの2つの伝統思想が存在し、ネルーでさえダルマのみにしたがっていたわけではない。どんな相手であろうと臨機応変に対応することができる、と考えている。またモディ首相にとって、ヒンドゥーを中心としたインド、は信念であり、権力維持のための手段でもある。2021/04/03

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