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内容説明
マルクスとエンゲルスが共同執筆して1848年の二月革命直前に発表し、その後のプロレタリア運動の指針となり世界を大きく変えることになった、わずか23頁の文書。いわゆる“党派”的な檄文ではなく、労働者がなぜ虐げられているのか、なぜ搾取されるのかなど、資本主義の弊害、そのからくりを解く。労働者の団結こそが社会を変える力であるという、働く人びとの味方マルクスの主著の一つ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
57
1848年2月、ロンドンで出版されたわずか23ページの小冊子。社会の歴史は階級闘争の歴史である。発展する生産力と社会の仕組みに矛盾を生じれば、革命による階級の入れ替えが起こる。例えば産業革命による生産の飛躍的増加で、封建領主からブルジョアジー(資本家階級)に権力が移ったように。そして将来は、プロレタリアート(労働者階級)がブルジョアジーを打倒して、共産主義が資本主義に対して勝利をおさめるだろう。マルクスとエンゲルスは、世界中の労働者に向けて本書の最後をこのように締めくくる――万国のプロレタリア、団結せよ!2023/01/30
かわうそ
43
イデオロギー色の強い本ではありますが、間違いなく資本主義の欠陥を暴く名著でしょう。 もちろん、明確に歴史によって否定されている誤りも含まれています。1つは私的所有が社会の歯車的な役割をしていてその発展に寄与していたことを度外視してしまったこと、2つ目は完全な共産主義社会に移行する過程においてプロレタリア独裁を想定したはいいものの、人間は権力を一度手にすると手放そうとはしないという心理を考慮できなかったことです。過去に存在した共産主義国は実際に、この2つの原因で崩れ去っていきました。2023/04/23
かわうそ
40
久々に読み直してみたら面白かった。我々が忘れてしまった大切なものが潜んでいる気がする。 私は理念としての共産主義は大いに復活すべきだと思う。それは共産主義が正しいからとかではなく、あくまでも資本主義に対する対立物としてである。 理念と理念が対立して初めて政治的な中立、安全圏のようなものが形作られる。ひとつの理念が全てを支配することは不幸である。資本主義という毒には共産主義という毒を対立させなければならない。しかし、対立物としてであると、社会的な支持は得られない。本気で理念を信じ行動することが大切である。2025/02/04
かわうそ
28
資本主義社会において生きている労働というのは常に疎外される一方で死んでいる、蓄積された労働が生きている労働を支配しているのである。プロレタリアートは死んでいる労働、つまり、資本を増殖する役割を果たすことが出来る時のみ生きることができるのである。そうなると、奴隷ですら生存は保障されていたのにも関わらず、資本主義社会におけるプロレタリアートの生存は保障されていないことになる。プロレタリアートの私的所有はすでに認められていないのだから、私的所有の廃絶はブルジョアジーに対してのみ行われるのである。2022/05/05
wiki
17
現代においては「万国」は即ち世界だと解説者は言う。持てる者と持たざる者との対立関係が人間の歴史であった。そしてこの共産党宣言は持てる者達を駆逐して、新たな万民平等の世界を構築するという万民を幸福にする方途に回答をもたらした宣言として、今なお一読すべき価値を持っている。という趣旨を持ちつつも、人間の怠惰という生来の弱さとそれによる国力の減退と崩壊という形で展開された歴史を鑑みると、やはりこのプロレタリアートのみが正しいと考える主張も対立しか産まないのか。長年続けられた対立を根底から解決する方途を求めたい。2020/03/04