講談社文庫<br> 足利事件(冤罪を証明した一冊のこの本)

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講談社文庫
足利事件(冤罪を証明した一冊のこの本)

  • 著者名:小林篤【著】
  • 価格 ¥963(本体¥876)
  • 講談社(2020/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062764582

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内容説明

15年前から冤罪を訴え続けた著者! どうして菅家さんは逮捕され、起訴され、刑務所に入らなければならなかったのか? 克明な取材ですべてが明らかに――2009年6月、日本中が注目するなか、足利事件で無期懲役刑の判決を受けた菅家氏が、17年ぶりに千葉刑務所から釈放された。著者は1994年から「月刊現代」誌上で氏の無実を訴え続け、この本によってすでにそれを証明していた。なぜ足利事件のような悲劇が起きたのか……。綿密な取材で、その裏に潜むものを解き明かし、釈放のきっかけとなった著作。
◎「足利冤罪事件の本質は、おそらくは自白の強要やDNA鑑定の危うさにあるのではない。問題はむしろ、それらの錯誤を産み出した、ぼくたちひとりひとりが抱える予断や偏見の視線にあるのだ」<東浩紀>

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

だまし売りNo

31
決めつけによる杜撰な捜査によって冤罪事件が作られ、人生が破壊される。警察や検察は破壊された人生に見合った責任を取ることは無い。 2023/01/07

gerumanium

3
警察官や裁判官、精神科医はそれぞれ人生のなかで経験を積み重ね事件のパターンを見出す。事件をめぐって繰り広げられる警察、弁護士、精神科医の妄想合戦はくだらない標語のごとく画一的だった。コミュニケーションもほとんど標語の連鎖に近い部分が存在する。だが、菅家さんはそこからはみ出る人間であった。この事件は、えん罪に関する我々の警鐘だけでなく、常にコミュニケーションが認識によって歪められていることの必然性さえも明らかにしてしまうから恐ろしいのだと思う。是非多くの人に読んで頂きたい2010/12/24

Arataki

3
ある側面として、知的障害がある男性が自己実現を果たすが、そのつつましい生活が、我々のもつ予断や偏見によって壊されてしまうという、その不幸な現実の例が描かれている。一人一人の警察官だって、罪を憎む気持ちのある真っ当な矜持を持った人たちであるのに、どうしてこのような冤罪が起こってしまったのか。気分が沈む一冊だけれども、是非とも目をとおして欲しい。解説にもあるが、真犯人が罪にとわれないままのうのうとしてるという事実が一番恐ろしい。2009/10/06

Ikuto Nagura

2
「捜査官の執念」「科学捜査の勝利」そんな修辞の正体は、何十年も前の“島田事件”や“狭山事件”から何も変わらない、知的障害者への差別による予断の糊塗に過ぎなかった。菅家さんの人生の破壊だけでなく、真犯人による再犯まで招いた責任は、警察も検察も裁判官も、そして我々も問われない。控訴審の傍聴席で老婆が高木裁判長に放つ「能力が低いのは、どっちだと思う」という辛辣な問いは、私自身にも突き刺さる。菅家さん逮捕による事件解決に歓喜した癖に、菅家さん冤罪に怒る矛盾の根源は、私たち自身の能力の低さと差別意識に由来するのだ。2014/11/16

キミ兄

2
連続する幼女殺人事件により地域からの犯人逮捕のプレッシャーが掛かったことが、捜査当局の判断を狂わせたのか。自分の意思で自白できない人がいることも認識が本当になかったのか。冤罪はえてしてそういうものだろうが、国の仕組みが正義を守れないのは本当に怖い。☆☆☆☆。2014/04/30

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