内容説明
日本最西端の島に漂着した一隻の潜水艇。
孤島に強行着陸した
「琉球独立団」を名乗る謎の武装組織。
彼らが狙うのは、そう、〈あの島〉――。
国防最前線を知り尽くした自衛隊元陸将が初めて書き下ろした
シミュレーション小説!
二つの軍事作戦をめぐり、
台湾海峡に緊張をはらむ中、
米中、そして日本の暗闘が始まる。
迫真の諜報・特殊作戦スペクタルロマン。
電磁攻撃によって、宮古島と石垣島の間に浮かぶ
孤島・多良間島を占拠した謎の武装組織は何を目指しているのか。
東京、沖縄、北京、大連、さらにはアフリカ・エチオピア、ジブチを舞台に、
日本、中国、米国各政府の思惑を同時進行的に描く。
アメリカ大統領選をめぐる混迷、緊張感を増す台湾海峡の情勢――。
風雲急を告げる現実世界との類似も感じさせながら、
陸上自衛隊の緻密な戦略分析、政府の意思決定手続きなど、
特殊作戦群の創設にもかかわった著者ならではの記述が冴える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ren5000
33
元自衛官が書いただけあってすごくリアルな軍備の描写でしかもイラスト付き!後半の作戦の実行ではドキドキしながら読みました。正に軍事シュミレーション小説。フィクションとしてあの国がある島に上陸して占拠するんだけど今の情勢ではフィクションとして笑い飛ばせない。個人的に予想以上に面白かった。2021/03/31
Ayako
28
自衛隊元陸将が書いた小説というキャッチコピーに惹かれた。豊富な軍事知識が遺憾無く発揮された軍事シミュレーション小説だった。テンポの良さは映画のようで、迫力と緊張感のあるストーリー展開に引き込まれた。また昨今の国際情勢から、ここに描かれたような出来事を単なるフィクションと割りきれない恐ろしさも感じた。2021/01/11
reo
26
沖縄本島と台湾のほぼ中央に位置する多良間島に民間テロと見せかけた中国人民解放軍が上陸し、台湾侵攻の前哨戦としての軍事作戦を展開する。やるとしたらこのような方法なのだろうと納得。去年のロシア軍のウクライナ侵攻は両国とも地続きなので、ウクライナの首都キーウに戦車で攻め入り、ロシア軍は破壊・暴虐の限りを尽くしたのだが、ウクライナ軍の頑強な抵抗に遭い、現在(長期戦)に至っている。思うに台湾と中国本土の間には台湾海峡が横たわっているので、思うほど簡単ではないということがこの本を読めば納得がいく。実に面白い小説です。2023/01/20
しあん
24
リアリティがあり面白かったー。これだけスケールの大きい作品なら、もっと長編で読みたくなりました。中国軍側の権力闘争というか、パワーバランスも面白かった。本当にありえそうな、あの国ならこう言う作戦をやりかねないと思わされる内容でした。2023/02/05
臓物ちゃん
13
お馴染み中国軍攻めてくる小説なんだけど、いざ攻めてくるとなると組織がそれぞれどう動くのかを緻密に追っているのでなかなかの労作だ。防衛省情報本部の最新設備がまさか岡山にあろうとは。そして〈彼らが狙うのは、そう、あの島〉な〜んて帯に書いてあるから、ハイハイあの島ね〜と勝手に予想してたら違った!ラストでしっかりドンパチがあるし戦争シミュレーションの楽しみに満ちた一冊。2021/02/02