内容説明
放送部に所属する高1の円佳。部には「放送室でタイムトラベルができる」という伝説があった。同級生の颯哉は幼い頃に離れた従兄とわだかまりがあり、タイムマシンで過去へ戻りたいという。颯哉から「放送部の伝説を演劇にしたい」と打ち明けられた円佳。過去にこの学校で何があったのか。真実の舞台が幕を開ける──。高校生作家としてデビューした著者の文庫書き下ろし新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
黒瀬
114
【マイクの電源を入れ、音量バーを上げる。行きたい時を全校に向かってお知らせする】放送室でタイムトラベルが出来るという伝説がある学校で放送部を務める円佳。いとことのわだかまりがあり、過去へ戻りたいという同級生で演劇部の颯哉は伝説が生まれた理由をモデルにした脚本を作りたいと言う。そこから紐解かれる十年以上も前のほろ苦い青春の一幕。タイムトラベルが出来るのなら過去に戻ってやり直したいと願うのではなく、どんな未来を勝ち取ったのか見に行きたいと思えるように前向きに生きていきたい。 2021/07/08
へくとぱすかる
62
作者は21世紀生まれ。「今どきの若者」とか、先入観など捨てて、まず読もう。すごく上手! 文章の爽やかさと端正さにも驚く。あくまで静かで丁寧な物語の、何と心が洗われることだろう。いわゆるドラマチックな展開はここには不要。題名からはSF的な要素を連想するけれど、それに依存しなくても、こんなストーリーが作れると実証してくれた。タイムトラベルに頼らないのは、登場人物も同じで、その過程で人間的にも強くなっていく。それでも読者に本当のタイムトラベルのように感じさせてくれるのは、小説のマジックです。読んで得した!2021/01/15
coolgang1957
40
図書館の新刊棚にありました。カバーが可愛かったので、つい借りてしまいました。主人公の円佳さんは、サンタはもう信じてないけど可愛くて弟思いの優しいお姉ちゃんです。何故か「赤頭巾ちゃん気をつけて」の薫君を思い出してしまいました。中高生向きかもしれないけど読んでるうちに大人気もなく、ついつい引き込まれましたよ。第1章の終わりには、本当にタイムトラベルするんじゃないかと🤣世間のしがらみに揉み込まれてしまった大人たちにも読んで欲しいな。憧れのコウコウセイに戻れますよ😆楽しかった😄2021/01/05
ぶんこ
38
放送部の奈帆は、ある日先輩隆行の大切にしていたCDを傷つけてしまう。CDは製造停止となっていて弁償することができない。隆行は怒らなかったが、奈帆はずっと引きずる。あの日に戻れたら、きちんと謝れるのに。タイムマシンがあったなら。そこで、タイムトラベルの手順を書いた紙を放送室にしまいこむ。それから11年後、隆行の従兄弟颯哉が放送委員として放送室に現れ、放送部の円佳と出会い、従兄弟と心が離れてしまったような辛い思いを相談。颯哉5歳の繊細さが、お芝居中で自殺した従兄弟が本当に死んだと思い込んだシーンが切なかった。2024/02/11
メルト
19
放送部に所属する円佳と、同級生の颯哉と、放送室に伝わる伝説を描いた物語。構成が凝っていて、とても面白かった。どことなくミステリー的な部分や、いわゆる「刺さる」言葉が随所にあるのだが、それらはどれも抑制されたものだったから、それらとは違う、やさしさを感じる形で心に残った。2020/11/14




