内容説明
作り物とわかっているのに自分の手と思い込む.目の前にあるのに見落としてしまう.これらはいずれも脳のつじつま合わせが引き起こす現象.顔と声が別人の映画の吹き替えに違和感を覚えないのも同じ.われわれが安心して日常を過ごせるのも,こうした脳の特性のおかげなのだ.まさかと思う人も,もっと脳を深く知りたくなる本.
目次
まえがき┴第1章 つじつま合わせの達人┴つじつま合わせ/五感と脳/統合的認知/ラバーハンド錯覚/自己刺激によってラバーハンド錯覚は生じるか/ラバーハンド錯覚に付随する感覚/幽体離脱体験/身体所有感覚┴[コラム]体性感覚と触覚┴第2章 感覚を融合したつじつま合わせ┴マガーク効果/腹話術効果/マガーク効果と腹話術効果は同時に生じるか/感覚融合認知┴[コラム]錯覚とつじつま合わせ┴第3章 見落として当たり前┴選択の見落とし/変化の見落とし/めったに出現しない標的の探索/注意の限界と効用/見落とし回避の方法┴[コラム]注意と意識┴第4章 形や色の好ましさ┴典型的見え/好ましさと安定性/典型的見えとつじつま合わせ/色の恒常性/色嗜好/生態学的誘発性理論┴[コラム]共感覚┴終章 つじつまを合わせたがる脳との付き合い方┴拡張される身体《ラバーハンド錯覚》/雑音への耐性《マガーク効果と腹話術効果》/見落とし回避のコツ《専門家の注意力》/操られる嗜好《形や色の好ましさ》/つじつまを合わせたがる脳とつじつまの合わない行動をする人間┴参考文献・図について