内容説明
作り物とわかっているのに自分の手と思い込む.目の前にあるのに見落としてしまう.これらはいずれも脳のつじつま合わせが引き起こす現象.顔と声が別人の映画の吹き替えに違和感を覚えないのも同じ.われわれが安心して日常を過ごせるのも,こうした脳の特性のおかげなのだ.まさかと思う人も,もっと脳を深く知りたくなる本.
目次
まえがき┴第1章 つじつま合わせの達人┴つじつま合わせ/五感と脳/統合的認知/ラバーハンド錯覚/自己刺激によってラバーハンド錯覚は生じるか/ラバーハンド錯覚に付随する感覚/幽体離脱体験/身体所有感覚┴[コラム]体性感覚と触覚┴第2章 感覚を融合したつじつま合わせ┴マガーク効果/腹話術効果/マガーク効果と腹話術効果は同時に生じるか/感覚融合認知┴[コラム]錯覚とつじつま合わせ┴第3章 見落として当たり前┴選択の見落とし/変化の見落とし/めったに出現しない標的の探索/注意の限界と効用/見落とし回避の方法┴[コラム]注意と意識┴第4章 形や色の好ましさ┴典型的見え/好ましさと安定性/典型的見えとつじつま合わせ/色の恒常性/色嗜好/生態学的誘発性理論┴[コラム]共感覚┴終章 つじつまを合わせたがる脳との付き合い方┴拡張される身体《ラバーハンド錯覚》/雑音への耐性《マガーク効果と腹話術効果》/見落とし回避のコツ《専門家の注意力》/操られる嗜好《形や色の好ましさ》/つじつまを合わせたがる脳とつじつまの合わない行動をする人間┴参考文献・図について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
276
著者の専攻は認知心理学。脳の不思議を様々な実験を通して見せてくれる。そうだったのか。脳は「つじつま合わせの達人」だったのか。ラバーハンド錯覚も不思議だし、マガーク効果も、見落としも、すべて言われてみて初めてそうだったのかと思うことばかり。そうしてみると、脳の働きは信用できないことだらけ。あるいは、そうだからこそ脳は統体として認知しているのかもしれない。「色嗜好」の項目も面白い。しかし、そうだとするとこうした脳の認知の偏向を商業的に誘導することもできそうだ。いや、もうとっくにしているかも。2023/09/29
ホークス
46
2017年刊。脳によるつじつま合わせを様々な実験で説明する。例えばラバーハンド錯覚。片腕を衝立で隠し、目の前にダミーの腕を置く。実物とダミーを同時に刺激するとダミーを本物の腕だと感じ始める。視覚と触覚のつじつま合わせだ。自分の後姿をHMDで見る幽体離脱体験や、失った腕などを感じる幻肢も同じ原理。視覚と聴覚の例には、ガと言う映像にバの音を重ねるとダに聞こえるマガーク効果、音の位置が視覚に引っ張られる腹話術効果がある。適当に無視したり解釈を変えたりするつじつま合わせは、実はすごい能力らしい。実験がやたら面白い2021/10/25
hnzwd
16
腹話術を見た時、声が人形の口から出てるように感じるのは、脳がつじつまを合わせたがるからだ。という、脳の知覚の不思議解説本。音は間違いやすそうな気はするけど、見た目とか色でもやらかすのは結構驚き。2023/12/10
calaf
10
雑音ある現実世界を生き抜くための人間の脳の柔軟性。これを一言で表すのが、タイトルの「つじつまを合わせたがる脳」だという事かな?なるほどねぇ...幽体離脱もこうやって現実に実現することが可能なのですねぇ...2017/05/27
とりぞう
5
「他人が触るとくすぐったいのに、自分で触ってもくすぐったくないのは、他者からの触覚刺激は危険を伴うことがある一方、自己による触覚刺激では危険性も低いため、その刺激が抑制されるためと説明されている」なんて話など。2018/06/28
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