ちくまプリマー新書<br> 他者を感じる社会学 ──差別から考える

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ちくまプリマー新書
他者を感じる社会学 ──差別から考える

  • 著者名:好井裕明【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2020/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480683878

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内容説明

他者を理解したい、つながりたいと思ったときに必然的に生じる摩擦熱が、差別の正体だ。「差別はいけない」で断じて終えるのではなくその内実をつぶさに見つめ考えてみよう。

目次

はじめに
第一章 差別とはどんな行為か
ヘイトスピーチ
戦争は最大の差別
他者理解の過程で生じる差別
第二章 差別を考える二つの基本
差別が姿を現すとき
差別を考えるのに必要なこと
誰にもある差別する可能性
差別を超えるコミュニケーションとは
自分の中にある差別性に気づく
「普通」とは何か
第三章 カテゴリー化という問題──他者理解の「歪み」を考える
カテゴリーをあてはめる
一〇〇人いても大丈夫!
バルセロナの人は「関西人」?
時代によって変わる差別の姿
座頭市の「どめくら」と「おめくらさん」
『ズートピア』はユートピア?
思い込みや決めつけからの解放
カテゴリー化という問題とは
第四章 人間に序列はつけられるのだろうか
「特別」な人間なんているのだろうか
「貴い─賤しい」という人間の見方
「天皇、かわいそうやなぁ」
「穢れ」ている人間っているのだろうか
「貴─賤」「浄─穢」という文化的因習
教えられていない部落差別問題
「不条理で」「理屈に合わない」営み
「人の世に熱あれ、人間に光りあれ」
第五章 ジェンダーと多様な性
外から規定される性差
なぜ女生徒の制服はスカートか
それなら、結婚しなければいい!
変わるジェンダーの「あたりまえ」
私もあなたも、「つくり、食べる」人
ホモフォビア(同性愛恐怖・嫌悪)という原点
「知ったかぶり」や「思い込み」から自分を解き放つ
「あるカテゴリー」を生きる人を理解するということ
第六章 障害から日常を見直す
〝ガイジ〟って使ったことありますか
他者の全否定はできない
障害者をめぐるイメージ
憐れみの対象として描く
障害は克服すべきもの?
障害者を「もう一人の他者」として描く
パラスポーツとは何か
能力主義のあやうさ
第七章 異なる人種・民族という存在
少子高齢化が日本社会を変える
外国人が珍しかった
「イムジン河」という歌があった
『パッチギ!』が描く在日の「リアル」
「純粋な」日本人って何?
ONE TEAMの衝撃
多民族・多文化共生に驚く
異なる人種・民族の人々と生きるとは
第八章 外見がもつ〝危うさ〟
外見から他者を理解するということ
日常の儀礼:一人一人の〝膜〟
外見で印象を操作し続ける私たち
異質な外見と出会う驚き
ユニークフェイス
自分らしい顔で生きる
ぽっちゃり系女子の「生き方」
外見による「決めつけ」を崩す方法
第九章 差別を考えることの〝魅力〟
不安のはけ口としての差別
差別をめぐる〝残念な〟現状とは
性的少数者の「リアル」
重複した障害を生きる人の「リアル」
たとえばアニメから差別を考える
「普通」に息づいている「思い込み」「決めつけ」を洗い出す
「柔らかい、しなやかなこころ」を育もう
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

future4227

49
多様性を認め合い、評価する社会を実現しているのはアラレちゃんのペンギン村やセサミ・ストリートなのだそうだ。まず私たちは誰でも差別をしてしまう可能性があるという自覚が必要だ。差別はいけないと封じ込めても差別意識そのものはなくならない。むしろ、どうして差別をしてしまうのか、その原因に向き合っていくことで、意識そのものを変えていけるのではないか。そして「普通」という感覚に常に疑問を感じることが大切。差別は「決めつけ」や「思い込み」の中から生じるからだ。今までの当たり前は、もはやもう当たり前ではないのだ。2021/12/04

フム

34
著者の本は『差別言論』『差別の現在』『「あたりまえ」を疑う社会学』に続いて4冊目。差別はその時々でいろいろな形で社会に姿を現して、私たちに考えることを促す。差別は特別なものではなくて、「決めつけ」や「思い込み」などから生まれるもので、誰もが差別したりされたりする可能性を持っていると考えた方がいい。差別を考える事例は身の回りにあふれているのだ。例えば第八章では「ぽっちゃり系女子」という言葉を取り上げている。太っていることをあざ笑うような価値観はメディアにあふれているが、そもそも前提となる「普通」とは何か。2021/05/20

K1

19
「普通」って、なんだろうーまずはそこから。その人は何を、どんなふうに感じているのかを想像する力が大切ってことかな。2021/04/27

venturingbeyond

17
自他の相互理解の観点から、差別の本質と差別的な関係性の結び直しの処方箋を考える「差別の社会学」入門。最初に、差別の原理として、「カテゴリー化」に基づく他者理解の不可避性とその暴力性・差別性が明解に語られる。4章以降は各論で、「部落差別」、「ジェンダー」、「障害」、「人種・民族差別」「ルッキズム」が扱われる。入門書という位置づけからか、各論は、問題の所在を明らかにする程度に留まっていて少々物足りないが、総論の差別との向き合い方を論じた部分が入門書としての肝で、この部分が重要。入門書としてまずまずの一冊です。2021/01/06

テツ

16
「社会的に許されなくなった」差別を目にして眉を顰めるのではなく、自分だって無意識に無自覚にそれを平気で行ってきたのだろうし、おそらく現在進行形で行っているんだろうなと、まずは強く深く自覚し自戒すること。自らの中で長年かけて育んできた基準は絶対ではない。社会というぼんやりとした存在が提示する基準も勿論絶対ではない。他者が例えそれらから逸脱していたとしても、それだけを理由に排除するなど決して許されないのだ。社会の中で生きる基本は自らの中に確固とした芯を築き上げ、同時にそれを他者には押しつけないこと。2023/01/20

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