ちくま新書<br> 新宗教を問う ──近代日本人と救いの信仰

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ちくま新書
新宗教を問う ──近代日本人と救いの信仰

  • 著者名:島薗進【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2020/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480073518

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内容説明

創価学会、霊友会、大本、立正佼成会、PL教団、天理教――。日本ほど新宗教が大きな力をもつ国は世界に類例がないといわれるが、どうして日本で新宗教はこれほどの影響力をもつのか。近代に大発展した新宗教はなぜ現代において衰退しつつあるのか。救いの信仰に向けられた人々の心はどこへ向かっているのか。この三つの問いはそのまま日本の近代とは何かを問うことでもある。「宗教からスピリチュアリティへ」の転換期にある現代において、人間を救済できるのか。「新宗教」が明らかにする、時代の相貌と日本人の精神の根源に迫る。

目次

序章 新宗教とは何か
第1章 新宗教としての創価学会
第2章 創価学会──弾圧と戦後の変容
第3章 法華系の新宗教──霊友会系の新宗教教団
第4章 大本の誕生と背景
第5章 二度の大本事件
第6章 新宗教発展の社会背景
第7章 新宗教の思想と信仰
第8章 江戸時代に形づくられた発生基盤
第9章 明治維新期の新宗教の展開
第10章 救済宗教としての新宗教
第11章 現代日本人の宗教意識の変容
第12章 新宗教の後退とオウム真理教
第13章 新宗教と新宗教以後のスピリチュアリティ
終章 「救い」にかわるものを求めて
あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

52
明治以降の新宗教について概観した本。創価学会や大本が大きく取り上げられているが、それ以外の新宗教も解説されている。1960年代までの新宗教は現世利益を説くものが多かったが、信者数は近年頭打ちになっている(その流れがPL学園の野球部が廃止にもつながっている)。一方70年代以降に出てきた新宗教はスピリチュアルなものが増えているようだ。いずれにしても伝統的な宗教では満たされないものを求めた結果が新宗教であり、時代背景に大きく左右されてきた歴史も理解できたと思う。日本人の宗教観を知る上でも興味深い内容だった。2021/05/23

ころこ

46
宗教団体による自己言及的な本は沢山ありますが、簡潔で中立的な情報の必要性はこの分野にこそ相応しいといえるでしょう。興味本位で読むのも良いですし、会社に続く中間集団として社会学的な関心から接近することも意味があるでしょう。女性が主要な担い手であっても幹部となると男性になり、男性の発想で組織が運営される教団が多いとの指摘は、同時代に存在した連合赤軍に連想が働く批評的な問いです。宗教、思想、政治は地続きであり、それらの結節点に終章の杉本栄子がいるようにみえます。この分野は初めて読むのですが、奥が深いと思います。2021/09/19

雲をみるひと

21
江戸時代以降の新宗教の興亡を論じている。明治から高度成長期にかけて興隆したいくつかの宗教については個別に論じている。個々の団体の性格や性質がわかるだけでなく各宗教の成長期の世相やその時代の政策との繋がりを論じている。日本の近代史の一面としても読める本だと思う。2021/02/17

やまやま

20
仏教を基本に始まった新宗教の例として、創価学会と立正佼成会を対比させて、排他的な立場と包摂的な立場の違いを論じていますが、知識が無いので大変新鮮でした。現世救済という点で新宗教は共通の価値観があるが、新新宗教では現世否定が再度強調される、という説明も感心しました。現象の背景にはより幸せになるためという理由があるとされますが、それは「痛みのより少ない」生き方ということかもしれません。痛みと心の関係は体感が先に立ち、確かに「理解」は難しいのでしょう。新宗教では「死」に関心が薄いというのも興味深かったです。2021/10/18

田中峰和

10
浄土宗系ではなく、日蓮・法華経系から新宗教が多く生まれた説明に納得。江戸から明治までは大衆参加の仏教として浄土真宗が影響力をもっていたが、来世への期待ばかりで現世救済の要素が弱い。一方、明治から敗戦までの全体主義化した国家神道や天皇崇拝の時代は、ナショナリズムの機運が高まり法華経や日蓮の新宗教に期待が集まった。その流れは高度成長期まで続き、現世利益を強調する創価学会などが急成長した。これは三代目の池田大作の手腕と他宗派への攻撃、折伏によるものが大きい。自民党右派の日本会議と公明党はどう折り合いをつけるか。2021/11/18

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