内容説明
作品を読むことの意を問う、画期的マルクス論。作品の外に、どんな哲学も作者の意図も前提にしないで読むこと、まだ思惟されていないものを読むこと、可能性の中心においてマルクスを読むとは、そういうことである。柄谷行人の不朽の名作。
◎ある作品の豊かさは、著作家が意識的に支配している体系そのものにおいて、なにか彼が「支配していない」体系をもつことにある。……私にとって、マルクスを「読む」ことは、価値形態論において「まだ思惟されていないもの」を読むことなのだ。……マルクスをその可能性の中心において読むとは、そういうことにほかならない。<「序章」より>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
耳クソ
16
いやこれ感想書くのキツくねえか。とにかく泣けました。だがそれを今・ここに「書く」のは。2022/06/10
ミツ
5
解説は笠井潔。マルクス論の他武田泰淳論、漱石論を収録。 『日本近代文学の起源』など以降の著作の序説としての意味合いが強く、著者柄谷行人の転換期となった作品の一つである。 マルクスのテクストを単なる経済学にとどまることなく哲学、言語学の側面からも考察し、言語論=貨幣論相互の立場から価値形態論、剰余価値論の解釈を行い、「外部」なるものが隠蔽されるその仕組みを明らかにする。 30年以上前の著作なのに、今でもなお刺激的で面白いのは流石である。 良作。2010/10/27
masanari
1
あらゆる商品の交換には根拠がない。あるのは差異だけであり、商品の価値は交換後振り返ってあったかのように捏造される。『探究』の「命懸けの飛躍」に繋がる。柄谷は冒頭でイデオロギーを離れてマルクスの著作だけを読み取る宣言をする。面白いけど繰り返しが多くやや冗長。2023/03/12
高円寺
0
当たり前のことに驚くこと2015/02/21