講談社現代新書<br> 経済学の堕落を撃つ 「自由」vs「正義」の経済思想史

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講談社現代新書
経済学の堕落を撃つ 「自由」vs「正義」の経済思想史

  • 著者名:中山智香子【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2020/11発売)
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  • ISBN:9784065219539

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内容説明

経済学は、なぜ人間の生から乖離し、人間の幸福にはまったく役立たなくなってしまったのか? 経済学の堕落の跡をたどると同時にその再生の可能を探る。「科学的客観性」「ヴァリューフリー」を標榜し、いつしか「人間の心」を失ってしまった経済学。19世紀後半ドイツにおいて始まった経済学「科学化」の動き。ハイエク、「ゲーム理論」、さらには「シカゴ学派」の「ゴッドファーザー」シュルツへと至る、極端な経済の自由化と「脱倫理化」の強化。そして「クズネッツ曲線」をめぐる「新自由主義」の欺瞞。その一方での、上記の流れに抗して「人間の顔をした経済学」を目指した、ポランニー、イリイチ、あるいはウォーラーステインら世界システム論者などにによる、経済学における「社会的公正」理念復権への模索。経済学の歩みを「自由」と「正義」という二つの相対立する思想の相克の歴史と捉え、21世紀の「来たるべき経済学」の可能性を探る。

目次

はじめに
第1部 経済学の分岐点--「倫理」から倫理「フリー」へ
第1章 市場は「自由競争」に任せるべきか--理念と方法を問う
第2章 「暮らし」か「進歩」か--ダーウィニズムと経済学
第3章 「逸脱」のはじまり
第4章 経済学からの「価値」の切り離し--「社会主義計算論争」の行方
第2部 「アメリカニズム」という倒錯
第5章 「自由」か「生存」か--大戦間期の「平和」の現実
第6章 マネジメント=市場の「見える手」
第7章 経済成長への強迫観念と、新たな倒錯のはじまり
第8章 (特別編)工業化される「食」--食にみるアメリカニズム
第3部 新たな経済学の可能性をもとめて--擬制商品と(フィクション的商品)の呪縛から離れて
第9章 世界システム分析の登場
第10章 「人間」をとりもどす--「労働」から「人間」へ
第11章 「おカネ」とはなにか--「レント」および「負債」をめぐる思考
第12章 「土地」とはなにか--そして「誰かとともに食べて生きること」
終わりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

冬佳彰

16
「経済学は、いつから、そしていつまで、倫理も理想もないちまちました蛸壺に閉じこもっているのかっ!」といった本と理解した。本書のタイトルって、学会的に大丈夫なのか?と心配になったりする。オッサンたちの学内政治に巻き込まれたりしないか、なんてね。経済思想史の本だが、経世済民を忘れ、政治への過度の接近、閉鎖的な資本増大への技術提供の結果、格差を助長し、トリクルダウン理論で人々を騙す「経済学」を告発している。ただし経済史だけあって、色んな経済学者の名前や理論が入れ替わり立ち替わりで、決して読みやすい本ではない。2021/02/03

しゅん

14
実際には「自由」vs「公正」の思想史。8章の、20世紀中盤にアイオワ州を中心に起こった「バター・マーガリン論争」(バターをマーガリンで代用してもかまわないよいかどうかの論争)のところを読んでいると、計画的・人工的に産業をコントロールしていく新自由主義の傾向ってソ連のマルクス主義と通底しているものがあるなと思った。色々詰込みすぎで読みにくいところがあるけど、自分が知識として持ち得ていなかった歴史記述が多く、学びがあった(一応恩師が書いた本なのに知識がないのもどうかと思うが・・・)2021/01/27

Akiro OUED

5
パクス・ブリタニカは、植民地から搾取によって成立した。フォーディズムとテイラー主義によって、企業の生産性向上と取引費用の内部化に成功したアメリカは、植民地搾取抜きの覇権を確立した。が、新自由主義は、再びグローバルな搾取を実行中だ。その反動は、全体主義だと歴史は教えるが如何に。2021/12/19

やす

4
経済学の本だと思って読むと肩すかしをくらう。 あくまでも経済思想史の本。ポライニーを初めて知れた。 著者みたいな人に頑張ってもらって、経済学を有用な学問にしてもらいたい。2021/01/24

カモメ

3
経済学を通して社会の中で重要とされた価値観を考えることができ興味深かった。ケインズのように国家を経済学の体系の中心とするのはシュモラーらの特色である。シュンペーターによって、正義や平等は経済学から排除され「パイ」の量の問題とされた。これは今の社会にも通ずる。ダーヴィンの進化論は、生存競争を人間社会に適用すると自然の摂理としての不平等が肯定される可能性を孕んでいたという指摘は興味深い。2021/04/17

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