内容説明
第一次世界大戦中の独軍と一七世紀初頭のオスマン帝国。戦争に翻弄される三人の少年、ヤーノシュ、シュテファン、ミハイは、時空を超えて巡り合います。オスマン朝の風俗やUボート艦内の緊迫した雰囲気など、「幻想小説の女王」の目眩く世界をご堪能ください。
※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
74
第一次世界大戦時が舞台のU-bOOtの章と、17世紀が舞台のUntergrUndの章からなる物語。二つのUのつながりと、UntergrUndとは何のことなのかが分かったとき、数奇な運命にとらえられた者たちの秘密が明らかになる。彼らが生を受けてから、ヨーロッパの東部では戦が絶えなかった。ヤノーシュが図書館に籠ったのは、もう戦を見たくなかったからなのか。では、シュテファンは?彼らは、死ぬことができたが、ドイツの戦は、まだ終わったわけではなかった。最悪の戦を見ずに済んだ二人は、幸せだったのだろうか。2021/01/28
のり
66
17世紀のオスマン帝国隆盛期と20世紀の第一次大戦のドイツに共通するのは、戦争が絶えない事と、数奇な運命を背負った若者達。死線をくぐり抜ける地獄と時空さえ超え生き続ける地獄。歴史をたどりながら生み出された皆川ワールド。巻末にある皆川さんと綾辻行人さん・須賀しのぶさん・恩田陸さんとの往復書簡も見所だった。2021/08/09
秋良
26
単行本で初読、文庫で再読。中央アジアから中欧までを勢力下においていたオスマン帝国と、WW1のUボート内を違和感なく結びつける力業。作中に流れる膨大な時間に圧倒される。参考資料の何冊かは私も読んだことあるけど、こんな話思いつかなかったよ!(当たり前)文庫版は綾辻行人、須賀しのぶ、恩田陸との往復書簡のおまけつき。確かに須賀しのぶは幻想味を薄めた、皆川博子の後継者という感じがする。2021/02/05
たぬ
25
☆3.5 半分を越えたあたりからようやく波に乗ってきた。17世紀初頭のオスマン帝国ともう一方の舞台である第一次大戦中のドイツとのつながりが把握しきれてなくて。Uボートパートよりもオスマン帝国パートのほうが読んでいて楽しかったな。オスマン帝国ってば「即位したら自分の兄弟は殺す」や「オスマン2世、若くして奴隷に縊り殺される」がフィクションではないのが怖すぎ。けど怖いからこそもっと知りたくなってしまう。2024/04/26
さや
25
デウシルメで人生を転換させられたヤーノシュとシュテファンとミハイ。2人は長いときを生かされて、1人は同じ名前、遺伝子が綿々と受け継がれていく。神はいないけれど、人智を超越した何かはある。天啓とも言えるような一瞬の自由。信仰も尊厳も奪われて、長いときを与えられたから辿り着いた、歓喜なようで哀しい境地でもあるのかなと。17世紀オスマン帝国とWW Iのドイツ帝国がどうやって繋がるのかと思いながら読み進めて、その場面の描写の暗闇の極限状態の緊迫感ときっと光が美しかったんだろうなと思わせられる描写に圧倒された。2022/02/22
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