内容説明
「法学ってどんなことを学ぶの? 法律とか,条文…とか。なんだかつまらなそう…」
わかります! でも少しだけ,この本を開いてみて──。「ことば」を通して社会を変えていく,そんなダイナミックな法学の世界,その魅力をお届けします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
26
面白いけどさすがに高校生には難しいと思う。「法学を学ぶということは,さまざまな制約の下で,先人たちが,ファースト・ベストは実現できないまでも,せめてなんとかセカンド・ベストを実現しようと努力してきた知恵を学ぶことだ。」2023/07/04
ねお
16
高校関連者向けに、道具主義に基づいて、法を社会目的を達成する手段と説明する。立法論における醍醐味を、最善の策(ファースト・ベスト)ではなく複数の次善の策(セカンド・ベスト)のうち、どれが最もましか折り合いをつけながら決めることにあるとし、社会のルールの設定=インセンティブ付与につき、達成目的の吟味と利害関係人の行為予測が重要であることを面白い具体例を挙げて説得する本書は、解釈学よりも立法論への魅力が光る。社会的ルールには法以外にもお金やフリマアプリによる評価等があるとして契約を支える要素の分析も興味深い。2021/05/31
Defricheur
9
筆者の立場によれば、法ルールとは、ことばを用いて社会や人間をコントロールする技術であり、諸学問の知見を利用するなどしながら、社会を望ましい方向へ導こうとするツールであるとされる。実定法からいかなる解釈を行うか・解釈の射程をいかに定めるかという議論を突き詰める、という伝統的であり支配的である法律学のスタンスから一線を画し、法道具主義という新たな「法学」への入門を誘う優れた一冊。2021/03/27
左手爆弾
7
法学を志す中高生向けの本。法律は、「◯◯をすれば(要件)、××となる(効果)」という関数的な構造を持つ。この組み合わせによって、インセンティブを作り出し、人々の行動を律するのが法律である。大切なのは、要件や効果の設定を、社会が何を目指すのかという目的に合わせていくことである。このバランスが崩れると、過剰に罰したり、甘くなったりする。法学は言葉を使ってルールを作る。そのため、法の「解釈」と「適用」が問題になる。これも厳密さと曖昧さを併せ持つことで、様々な事態に対応できるようにする。2023/10/21
ちくわ
3
法道具主義の観点から法学を学ぶことの意義を述べる。法学を学ぶと聴くと様々なイメージを思い浮かべることだろうが、本書では、プラスの面もマイナスの面も含んだ「インセンティブ」を前面に押し出して法の意義を平易な言葉で説明していく。実務者の観点から行くと、法を学んだことがないものの、仕事で法に関わることを担当していかねばならない人がまず読む本としてはオススメできる。加えて、それなりに仕事を行ってきた人が、自らの仕事の「作業感」を一歩抜け出すためにも役立つ本だと思う。個人的にはどのような立場の人にも有益な本と思う。2022/08/05