内容説明
謎とトリックと推理の鮮やかなパズル! ――密室殺人にとりつかれた男の心の闇、一場面に盛り込まれた連続どんでん返し、不思議な公開捜査番組、姿を見せない最後の客……。人気の本格推理作家が、明確な意図を持って、みずからの手で精密に組み上げた短編集。謎とトリックと推理の巧みな組み合わせが、人間の深奥にひそむ「ミステリー」を鮮やかに描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
81
1995年度「このミス」第1位作品。山口氏ならではの、ミステリへの挑戦や実験の様な短編集で、このミスではあるものの本格作品ではない。笑いと恐怖を成立させようとした作品、相反するものを並べて奇妙な味をだそうとした作品。また、いったいどれだけどんでん返しが出来るのか、に挑戦した作品など色々。この「解決ドミノ倒し」は、犯人を推理するから次のどんでん返しはどの様に起こるのかと、のめり込まされた作品。10やそこらのひっくり返しではありません、半分呆れてしまう位ではあるが愉しくて仕方がない。正にミステリはアイデア。2018/06/23
Bugsy Malone
76
読了後、ニヤリとしてしまう短編5編を収めた前半のDISK-1、ロアルド・ダールやヒッチコック劇場の趣のある5編を収めた後半のDISK-2、計10編の様々な趣向で楽しませてくれる傑作短編集。どれも面白かったけれども、DISK-1収録の「音のかたち」の「音」という感覚の怖さ、「解決ドミノ倒し」の名作映画「名探偵登場」を観ている様な子気味よさ、DISK-2収録の「蒐集の鬼」の切迫感、「不在のお茶会」に込められた意図は特に良かった。これは次の「マニアックス」も読まなければ!2019/12/25
ダイ@2019.11.2~一時休止
64
Mその1。短編集。解決ドミノ倒しなんかがイイ。やや難解なものが多いので読む人を選ぶような気がする。2013/11/05
とくけんちょ
63
また素晴らしい作家に出会ってしまった。本作は短編集。ともすれば、奇妙な物語とも感じる作品集ではあるが、必ず好みの作品に出会えるはず。作品の順番もよく練られている。私は、あなたが目撃者ですがめちゃくちゃ面白かった。久しぶりに一気読みしたなぁ。2021/10/05
森オサム
53
1995年度「このミス」第1位。それぞれ趣向は異なるが、皮肉の効いたブラックジョークが面白かった。そう言う意味では最後の2編は私には難しく、良く分からなかった。気に入ったのは「蒐集の鬼」。見つけた時が即、買い時なのである。正にその通り!。いやー、自分を見てる様で応援しましたねぇ、なので最後は…(涙)。本格推理では無く、広義のミステリーの、しかも結構マニアックな作風かと思います。本作が楽しめれば、ミステリーファン上級者認定試験合格、ハイセンスを名乗って良し!。2020/04/30