内容説明
“それ”はいつの間にか場を支配し、事が決まっていく。その圧力に抗うことは困難だ。日本では法よりも総理大臣よりも上位に立つ存在、それが「空気」である。あの戦争の時も、コロナ禍においても、国家、国民を支配したのは「空気」だった。なぜそうなるのか。メディアやネットはどう作用しているか。息苦しさを打ち破る手立てはあるのか。豊富な事例から得体の知れぬものの正体をロジカルかつ鮮明に解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
55
著者は元東北電力社員で福島生まれの物江潤氏。著書に「ネトウヨとパヨク」があります。大事なことは何となく決まる、日本の同調圧力についてその正体を解き明かします。戦争の時もコロナ禍においても、国家・国民を支配したのは「空気」でした。メディアやネットはどう作用しているか、息苦しさを打ち破る手立てはあるのか、得体の知れぬものの正体をロジカルかつ鮮明に解明しています。内容は何となく分かりました😅2021/08/24
メタボン
35
☆☆☆★ タイトルはなるほどと実感。確かに最初に上席者が発言したことを部下が忖度して、そのまた部下が更に忖度を重ねて、しまいに上席者も思いもよらない方向に話が進んで後戻り出来ないケースというのはありがち。その大掛かりなものが太平洋戦争だったのだろう。震災の原発事故、コロナ禍における自粛警察、木村花への中傷、スクールカースト、「空気」は時に予想できない事態へと向かわせる恐ろしいものとも言える。それに抗うことは出来ない。日本人は高コンテクストのコミュニケーションを好む。2021/08/11
kawa
33
どこの国でも「空気が支配する=同調圧力」はある。日本で特徴的なことは「曖昧な掟」に支配されることであり、そこにおいては、法律などによる強い強制と異なりどれだけ同調すべきかわからなくなる息苦しい状況が発生する。さらに例えば、戦中に叫ばれた「欲しがりません、勝つまでは」「一億玉砕」のようなスローガン(「空体語」と名付けている。)が「掟」を守るための言葉として跋扈すると分析する。これらを踏まえて筆者は、空気に抗うような意見(「抗空意見」と名付けている)こそ、他の意見よりも尊重する心構えを強調する。2023/01/11
金吾
28
空気というものがふわふわしたイメージしかないので読みました。一つの考えがわかり良かったです。自分の考えをしっかり持ち、他人に論理性をもって理解させることが出来るようになりたいと思います。2023/11/28
たまご
21
日本の息苦しさは、同調圧力ではなく空気。空気を読まないと発動される掟は下手したら法律を超え、その限度がわからない。明文化されてない罰則って、怖すぎ。罰を受けないよう空気読みまくるよね…。確かに民衆レベルの行動自律は素早く出来そうですが。そして民主主義というより現今主義、欧米人にとっての神が日本は不在なのも関係すると。自分にとって利益があるからこれをする、という欧米マインドと、やらないと不利益を被る、とする日本マインドもありそう。ちょっと空気、整理されたかな? 小室直樹と山本七平の本も読んでみたい。2021/11/13