内容説明
夢の中で僕は空を飛んでいます。
なぜそんな夢を見るのか。
それは、僕が本当に空を飛べるから。
川原敏也は10センチの高さだけ、空を飛べる。でもそれが何の役に立つ?
大学生の敏也は自分のやりたいことが見つからず、就活にも及び腰。
ラジオ番組にその悩みを投稿したことがきっかけで、
少年時代、その能力を得たときの“友人との出会い”を記憶に甦らせる。
感動の青春ファンタジー。
※本作品は、「10センチの空」を加筆修正した新装版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
102
空を飛ぶ夢をよく見るので、この小説は面白かった。10センチだけ空を飛べる大学生が主人公。就職活動に行き詰っているときに幼年時代へタイムスリップするようになってしまう。なぜ10センチなのか、なぜタイムスリップするのかという謎で読ませる。ラジオが効果的に使われており、ラジオの魅力に魅せられている者としては嬉しかった。結末は感動的で、涙ぐんでしまう。幼い頃に自分が感じていたこと、経験したことは自分の一生を形作るのかもしれない。ブラッドベリが好きな人にお勧め。2015/01/08
へくとぱすかる
25
ミステリとも読める。ファンタジーというよりはＳＦだと思う。わずか１０センチだけ浮かんで空を飛べることの意味は何か？ という、短くてさらっと読める話だけれど、そこに込められた思いは切実。何かを否定するのではなく、あくまで自分の立ち位置を求めて、迷いながら自分の道を切り開こうとする主人公。これは「大人」になりきれない人々のために捧げられた作品のように思える。ラジオという、現在はマイナーとなりつつあるメディアを通してのコミュニケーションがレトロ懐かしい。過去に助けられ、過去を乗り越えていく過程に感動。2014/10/31
coco夏ko10角
20
10センチだけ空を飛ぶことができる大学生・敏也、ある日あるラジオ番組を聞いて…。子供の頃の後悔やこれからのこと。10センチというのにも意味があったのがよかった。2023/10/31
わった
19
10センチだけ空を飛べる学生が主人公。就職活動に難航しながら自分の能力を再確認し、過去の突っかかりを思い出すというストーリーです。子供と大人のはざまにいる大学生という設定、そして空を飛べるという夢溢れる能力、だけども少しだけという設定から、人間の心の成長について描かれているのではないかなと思いました。成長しなければならないと思っているけれども、大事にしなければならない子供心もあるんだよ、ということなのではないでしょうか。とても読みやすかったです。2016/07/14
Nak34
16
あ～ん～。感想ねぇ。良くもなく悪くもなく。１０㎝だけ飛べるってとても魅力的なのですが、その意味だとか、出来事だとか、会話や登場人物のキャラクターも、もっと洗練させる事が出来そうな気がしましたけどね。１２００円は高いかな。2010/09/05
