シリーズ・戦後思想のエッセンス<br> シリーズ・戦後思想のエッセンス  三島由紀夫 なぜ、死んでみせねばならなかったのか

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シリーズ・戦後思想のエッセンス
シリーズ・戦後思想のエッセンス  三島由紀夫 なぜ、死んでみせねばならなかったのか

  • 著者名:浜崎洋介
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • NHK出版(2020/10発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140818329

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内容説明

戦後日本社会のスーパースター、ノーベル文学賞候補にもなっていた天才はなぜセンセーショナルな最期を迎えたのか? 従来、作品に三島の天稟を認め心酔する読者も、1960年代からの彼が見せていた右翼的行動とその劇的な自決に対しては評価を保留する傾向――いわば作品と作家(思想)を分離する傾向があった。しかしもうこの分離は必要ない。彼の「言葉」が「行動」を求めたのは必然だったのだ。本書は、三島自身が「これがわかれば僕の全部がわかる」とした作品論『太陽と鉄』に基づいて作家履歴を3つに分けて読み解き、天才少年が肉体右翼として自決に至るまでを必然的な1本の筋道として描く、万人向けの入門書である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

39
三島にとって、言葉には矛盾した二つの側面があった。精神と肉体が一致する瞬間を夢想する三島は、ひとつには言葉によってしか肉体を描くことができない。他方で、その言葉は肉体を腐食させてしまう。彼にとって言葉と肉体は非対称なのだ。この外部に出るためには、精神と肉体を一致させるためには、言葉によらない肉体を得ることが必要だ。言葉の中に閉じ込めていた世界を滅ぼす。つまり死ぬことのできる肉体を持つこと以外にないと考えた。肉体より先に言葉が与えられてしまった卑小な存在。これが三島の制約(苦悩)であり、同時に才能であった。2022/12/02

無重力蜜柑

14
去年、河出文庫版の『英霊の聲』を読んで感銘を受けた(特に「憂国」に)が、三島由紀夫はそれ一冊しか読んでいない。というのも、正直なところ自分は彼の政治性にしか興味がなく、それが如実に現れている小説は「英霊の聲」「憂国」くらいらしいからだ。他の作品はまさに自分の苦手な「純文学」という感じで手が伸びない。そろそろこの状況から脱したいので、見取り図のつもりで手に取った本書だが、かなり良かった。三島の生い立ちから始めて戦前戦中期、古典期、右翼期へと、彼の思想と文学性がいかに変転していったのかが明瞭に描かれている。2024/03/01

かんがく

12
豊饒の海を読み終わったので読んでみた。「精神」と「肉体」、「言葉」と「存在」、そして「死」を鍵概念として、三期に分けた三島の作品をそれぞれの時期の代表的短編と、『太陽の鉄』を中心に分析していく。短い本だが、三島の問題意識や思想背景を掴むことができた。2022/11/13

はな

6
三島由紀夫が市ヶ谷駐屯地で切腹して果てるまでの精神遍歴をその作品とともに読み解いた思想書。はじめに言葉ありきで生まれてきて、文学的成功を収めた三島由紀夫は、解釈によって事実が変わる言葉より肉体を手に入れ、戦後の政治変遷という敵を作り、青年の仲間と共に自己の存在を証明する。天皇という太陽に近づきすぎて自らを滅ぼすイカロスのように、そうせずにはいられない宿命につき動かされたのだ。著者の三島に関する文学的、精神的な分析は的確で説得力がある。自決の真実を見事に我々に 提出している名著だと思う。2023/07/20

三日月

6
三島由紀夫氏が自害に至るまで、彼の作品の背景を読み解きながら、生き様・心理状態を考察している。◇ とても興味深い内容だった。惜しむらくは自分が三島作品を十分に読み込めていないことだ。発表している作品の半分読めたかどうかという程度では、この考察を咀嚼するには情報不足と感じた。もっと三島作品を読みたいし、読んだものも読み返してみたい。その後、またこの考察を読んでみたいと思う。2021/06/05

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