内容説明
恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす――。江戸末期~明治にかけて流行した26文字の唄「都々逸(どどいつ)」。本書では、恋愛にまつわる60作品を現代解釈を交えたイラストとともに紹介します。さらに、スペシャルコラム「都々逸を詠む」では、現代の作家やアーティストの方々による、オリジナル都々逸を掲載。時代を超えてよみがえった珠玉の恋の唄を、じっくりと味わってみてください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
63
短歌は31文字、俳句は17文字だ。ならば、26文字のラブレターとは何のことだろう。短い恋愛詩のことだろうか。図書館の検索機を使って探したこの本はYAコーナーの詩集が並ぶ棚にあるはずだった。しかし、目当ての棚を隅から隅まで探したのに見つけられず、私は再び目を凝らして探し始めた。すると、本と本の間に挟まっていたのだ。まるで、本物のラブレターがひと目を偲んでいるように。収載された26文字のラブレターはそのほとんどが詠み人知らずの都々逸だった。これは最も短い恋愛歌と言えるのでないだろうか。口ずさみたくなった。2022/10/02
けんとまん1007
60
都都逸。粋だね~という言葉が浮かぶ。但し、今回はラブレター。恋がテーマなので、ちょっと切ないなあ~。でも、そうだよなあ~とも。一遍の都都逸と、絵が合わさって、その風合いが格段に増している。何度も、見返したいと思う1冊。2020/10/14
❁Lei❁
36
都々逸をご存知でしょうか。7・7・7・5の26文字で構成される唄のことです。本書は恋愛の都々逸を、美しいイラストと共に収録しています。どの唄も簡単な言葉で綴られているのにユーモアがあって面白く、それでいてとてもロマンチックで素敵でした。いつの時代の人も同じような感情を抱いていたのだなあと、しみじみ共感しながら読みました。最後に私の好きな唄を紹介して終わりにします。「いくど逢っても 嫌いはきらい 初対面でも 好きは好き」2020/10/03
青いうさぎ号
24
都々逸(どどいつ)の本。「ラブレター」とのタイトルだけに、恋をテーマにしたものに限定されているが、その世界を堪能した。有名な【恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす】【三千世界の鴉を殺し 主と朝寝がしてみたい】も掲載。もっとピリッと毒があったり、ニヤリとしてしまう色っぽい都々逸も知りたい。瑞々しいイラストがとてもいい!巻末にイラストの索引もある。いとうあつきさんというイラストレーターにも注目。楽しかった。『笑点』ファンのあなたに、オススメです。2023/01/14
assam2005
22
都々逸。たった26文字なのに、そこに含まれたそれ以上の情景や気持ちの高ぶりが一気に押し寄せる。最初の「飲んだお酒の回らぬうちに早くききたい胸のうち」でぎゅうっと胸を掴まれた。こんなシチュエーションになったこともないのに。(笑)そして、「逢うた夢みて笑うてさめるあたり見まわし涙ぐむ」。ドキドキして喜んだのもつかの間、一気に突き落とされる、この落差にハマる。一喜一憂する恋心。美しいイラストと心地よいリズムと心揺さぶる26文字の言葉、都々逸を重ね合わせた一冊。たかが26文字、されど26文字。2022/06/20