内容説明
なぜ「官邸官僚」発案のコロナ対策は失敗したのか?なぜ官僚は政治家に忖度するのか?なぜ官僚は公文書を隠したがるのか?近年ますます注目される官僚の仕事ぶり。でも、彼らの言動には山ほどの「?」がつきます。安倍政権で生まれ、菅政権に引き継がれた官僚の新しい生態を、多角的に解き明かします。
◆本書の内容(一部抜粋)
「アベノマスク」大失敗の理由/“官僚任せ”が招いた「10万円一律給付」のグダグダ/官僚“性弱説”/天下り“闇”ルートは今も健在/官僚たちの「逆忖度」/内閣人事局はフル稼働させるべき/菅政権で官僚組織の再生はできるのか/赤木俊夫さんが「殺された」と考えるわけ/「官僚の会話」佐川理財局長と総理秘書官/アメとムチを使い分けてマスコミを操作する官僚/官僚の公文書公開に関する「6つの原則」/情報公開が国民の生命を守る/経産省の産業部門と農水省の合体で「産業省」を創設せよ
◆著者略歴◆
古賀 茂明(こが しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。東大法学部卒。 元経済産業省の官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官など改革派官僚として活躍したが、当時の民主党政権と対立し2011 年に退官。テレビ朝日「報道ステーション」コメンテーター、大阪府市統合本部特別顧問など政策アドバイザーとして活躍。著書に「日本中枢の崩壊」(講談社)、「官僚の責任」(PHP新書)、「国家の暴走 安倍政権の世論操作術」(角川新書)など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まゆまゆ
15
日本の官僚は未曾有の危機や想像を超える変化にめっぽう弱いことを自身の経験も踏まえて語りつくす内容。国民に感謝されたいと行動する人は一握りで、殆どの人は平穏無事に勤めたいと考えていて、自分のせいで汚点をつけたくないと考えている。官僚といってもスーパーマンでは決してなくサラリーマンと同じだが、自分達がラクするために利権を拡大しようとするのはダメ、といったところか。官邸主導はあくまで総理が力を入れたいと考えているところのみで、それ以外の分野は未だに官僚主導である、と。2021/01/20
鉄人28号
15
☆☆ 官僚の思考や行動の基準がどこにあるかを解説し、そこから忖度が生まれ、その結果、政治が歪んでしまうと政官の関係を批判的に論述している。官僚と呼ばれる人々は、概して高学歴の頭のいい人たちであるはずであるが、どうも職務遂行に当たっては正しい判断ができないようである。国民の利益を最優先して職務に当たらなければならないはずだが、彼らはそれよりも省益や自己の利益を優先するようだ。つまり、自己規律力が弱いということ。人間として何が正しいことかということがわかっていない。つまりは賢くないということだろう。2021/01/08
ころちくわ
10
なぜ、日本の官僚はこんなに腐敗してしまったのか?そして、閣僚をはじめ政治家も「同じ穴のムジナ」だった。退職後の天下り先を確保するために必要性がない外郭団体を作ったり、民間企業に仕事を回す見返りに退職後の天下りポストを作らせる。新人国会議員のために研修会を開いて、自分たちの利権を守るため洗脳し、味方にしてしまう。公文書改ざん問題が発覚した後は法律を改正して、課長の判断で公文書を作成するか否かを決定できることにし、都合の悪い文書は最初から作成しない保管もしない。つまり、国民が知ることもなく闇に葬られる。2022/06/23
よう
5
図書館本。2022/04/26
あんさん
5
意に沿わない、時に正義にもとる仕事、長時間労働、上位下達の風土。私ならすぐメンタルをやられるだろう。いい中学・高校→東大に入る→役人になる→出世する→天下り、という単線的な人生がベスト、良心や正義にもとってもこれから外れるのは恐怖でしかない、などという発想から自由になるにはどうしたらいいだろう。(終章に少し提案があった) 結局は報酬なのか。転職するのは当たり前にし、国民はよく勉強してまともな政治家を送り出すことだろうか。2021/06/08