内容説明
京の町、名も無き人々、懸命に生きる。「咎」を犯してしまう人々の、悲しさ苦しさを語りながら、読む者の心に、ほんのりとしたあたたかさが残っていく……。『なまくら』の著者が描く、珠玉の時代小説短編集。「京都水無月大賞2010」受賞作品――京の町に帰ってきた親方と、初めての音吉。辻で人を集めて芸をみせ、商いをする、けん玉売りの二人には、人には言えない、もうひとつの仕事があった。危ない橋を渡ろうとする、その先には……(「けん玉売り」)ほおか、短編8編を収録。貧しくとも毎日を懸命に生きる庶民と、揺れる心を見事に綴った、時代小説短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
47
江戸の犯科帳モノが多い中で、京を舞台にしてくれた作家さんがおられたなんて💛。「なまくら」に続きまだ二冊目ですが・・私が知らなかっただけで結構書いていらっしゃる。それでいてどの方もお褒めの言葉を。捕らえる人が主人公じゃなく、庶民が・・哀しいかな罪を犯さざるを得なかった事情が・・。犯罪を犯した者が全部が全部悪いわけではあるまい。貧しさ故ってこともある。そういう事情を踏まえた上でのほたる火と言う題。良かったら読んでみて下さいこの作家さんを(#^^#)2022/03/06
雨巫女。@新潮部
13
《私-蔵書》京の都の庶民の犯科帖。江戸と京は、やはり雰囲気が違う。2020/04/20
一五
7
題名はそそられる感じ。1話1話が短か過ぎて掘り下げが足りないかな2023/09/05
はち
7
短編集。舞台は江戸時代の京都、それだけでも大好物なのに、短編それぞれが上手い。犯罪を犯す子供たちのはなし。だけど派手さは全くないし、展開もどこか似ているのに、何か違う。読み終わった後に何かが残る。いい作品。もっと人気が出てもいい。2011/02/07
山内正
3
京西陣の大機織りの仕事を井助は風邪 で代わりに平吉が高い板の上に座る 藤五郎の織る糸を上で引っ張る 違う右を上げるんやと怒られる その時一巻きを懐に入れるのを見た 部屋に戻り井助に聞いたら 何も言うたらあかん黙ってろと 藤五郎にも分かってるな黙ってんと えらい目に合うでと脅され 一人どうしたらと悩み番頭さんに やっぱり藤五郎やったんか 噂は有って調べてたんやと 心配すな明日店を追い出す それにな井助も見たと言う人がいて お前助けてやってくれと 平吉は井助に番頭さんの話をした 夜中覚ますと井助が!2019/10/09