内容説明
最大野党として力を持ちつつも、激しい党内闘争と保守からの切り崩しによって消滅した社会党とは何だったのか。もうひとつの昭和史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
62
日本社会党の歴史について記されている。著者は自民党には批判的であるが、社会党に対しても厳しい意見を述べている。内部抗争に明け暮れて教条主義派が台頭し、プロレタリア独裁を捨てきれず、皮肉にも自民党の55年体制が続くことに繋がった。また、外交も中・ソ・朝からいいように使われているに過ぎなかった。著者は取材のためにソ連へ行って格差を目撃しているため、党員の共産圏賛美には疑問を持っていたようである。村山富市党首の回顧録、敵対していた自民党についての本も読んでみたい。2021/08/01
パトラッシュ
49
「選挙は詩、政治は散文」という。有権者には美しい理想を語って支持を集め、現実政治では権力を得て法律や体制をつくるため議会で泥臭い議論や妥協を重ねるわけだ。しかし日本社会党は「選挙も政治も社会主義という詩で」とする原理主義勢力が主流となり、反対者を悪口雑言の限りを尽くして排除した。汚い妥協で権力を獲得するよりも、純粋な理想を掲げた野党である方がマシと信じて。確かに自民党政権は政治の汚い面を見せつけたので社会党も支持されたが、ついに耐用年数が切れて消滅した。リベラルという理想主義の栄光と悲惨を見せつけられる。2021/02/28
雲をみるひと
21
日本社会党史。作者の社会党への期待や想いとそれに応えられず迷走する左派を中心とする社会党の面々という図式が見てとれる。終戦直後と消費税導入期の2回勢があった社会党だが、内情は矛盾だらけだったことに改めて気付かされる。2024/11/27
鯖
20
教条主義によって内部抗争で自滅し、中国ソ連北朝鮮への態度も決めきれず、プロレタリアや共産主義、独裁への態度が中途半端であり、その結果として自民党の55年体制を保持する手助けをしてしまった社会党の崩壊の歴史。いい人でいようとして、みんなにいい顔して、現実に向き合わなかった。日本人ぽいと著者は述べてたけど、この支持率で日本人ぽいはどうなんかな…。共産党も社会党も憲法大事なのは確かだけど、もうちょい労働問題を中心に据えてたら、ここまで凋落しなかったんじゃないかな参政党の大躍進もなかったんじゃないかなあとは思う。2025/08/17
かんがく
11
戦後政治史について社会党側から見るのは初めて。55年体制において1/3の議席を占めた大政党だが、いまや後継の社民党は1議席を持つのみ。党内抗争、社会主義の衰退、教条主義など様々な問題点を指摘。手段を択ばず権力にこだわった自民党とは対照的。江田、土井など路線転換が可能なタイミングは何度かあったのかなとも思う。2021/01/17