内容説明
築地小劇場の舞台美術家、考現学の創始者として知られるデザイナー、吉田謙吉が八〇年前に自前のライカで撮った写真九〇〇枚が遺品の中にあった。
建国初期の満洲や日中戦争時の広州・海南島、日本統治下の朝鮮南部。子どもたちの表情や女性たちの姿、街の賑わいや市場。
近代的視点の謙吉がとらえた戦前、東アジアの一側面。
感想・レビュー
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古本虫がさまよう
4
吉田は、築地小劇場の舞台装置家で、今和次郎と共に考現学の創始者として知られるデザイナー。だからカメラマンというわけではないが、有名なカメラ・ライカを購入していたようで、当時としてはかなり小型のものだったようだ。それを手にして、満洲や南支、南朝鮮などを仕事で行き来した際に撮影した写真が多々あった。それを遺族(塩澤氏は長女)が発見。 吉田氏には、『南支風土記 絵と文』 (1940年)なる著作もあり、それからの転載なども収録しつつ、専門家(松重氏ほか)の解説なども適宜挿入しつつ構成したもの。2020/09/17