内容説明
第二次大戦終戦直後のパリで行われた講演をまとめた本書は、私たちが自由でなければならいことの意味と、思索し続けることの意義を、未来への希望とともに語りかける。本書に込められたサルトル哲学の本質を、代表作『嘔吐』や盟友ボーヴォワールとの仕事や関係にも触れながら、混迷を深める21世紀世界にこそ必要な視座として、わかりやすく提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
39
本書を理解しきれたとは言えず、自分の内面のみに目を向けるなら、未だサルトルの実存主義は腑に落ち切らない。しかし、社会に属する自分として考えるとき、実存主義は大きな考え方の転換をもたらしてくれるように思う。傍観者として社会に鬱屈した不満を持つのではなく、間違ってもいいから社会に参加する。それは必然的に、間違いを犯す他者を受け入れることになるのだろう。かつての若者たちが不安、恐怖、悔恨、怒り等のないまぜになったものを抱えて生きなければならないと気付いたとき、そこにサルトルがいてくれたのだ。折に触れ再読したい。2020/11/21
松本直哉
35
「人は自由という刑に処せられている」といえばかっこいいが、暇で暇でしょうがないということではないかしら。サルトルのように、世話すべき係累もなく、家事や雑事にもかまけることなく、思う存分思索と著述に専念できる人だからこういうことが言える。主夫として日常に埋没している私にはなかなか同意しにくい。偶然性の問題としての実存の観念についても、それでもボーヴォワールだけは必然の恋人で、それ以外の恋人は偶然というのは身勝手なご都合主義ではないだろうか。まあでも原著を読まずに批判するのもあれなのでこれから原著読みます。2021/03/14
yutaro sata
34
サルトルの講演を中心に、サルトルがどんなことを考え、生きていたのかを解説している本。有名な「実存は本質に先立つ」の意味など、今まで全く知らなかったことを知れて良かった。もう一度『嘔吐』も読んでみたいと思うし、『存在と無』もいずれ読むことになるかもしれないな、と思った。2023/03/31
kazi
28
サルトルを読み始める前準備として読んでみました。各々の著書において、どんなことが語られているのか、やんわりと概要は掴めたような気がする。「実存は本質に先立つ」つまり、自由意志のもとに、自分が自分を作っているのだと。希望を失わずに生きていくためには、積極的に状況へと自らを投企していくべきなのだと。確かに、私も、これらの力強い言葉には、揺さぶられるものを感じました。私も、これから、恐れずに、よく考えながら、どんどん飛び込んでいこうと思います。2025/03/05
kazuさん
25
サルトルの書いた "嘔吐" や "存在と無" などに興味があるので、導入としてこの本を選んだ。サルトルの生い立ち、ノマド的な日常生活、ボーボワールとの関係、思想の概略、主要な著書名などが簡単に纏められている。実存主義やアンガージュマンについて、キーワードが何となく理解出来た。紹介本なので、もちろん、サルトルの深淵な思想に迫れる訳ではない。この本を読んで、取り敢えずサルトルの講演録である "実存主義とは何か" から読みたいと思った。2021/06/02
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