内容説明
米トランプ政権の岩盤支持層「キリスト教福音派」の取材を先取りし、「中東ドローン戦争」を予見した駐エルサレムNHK特派員による深層リポート。ハイテク立国イスラエルと激変する中東情勢を、「イノベーション」「アメリカのキリスト教福音派」「シェール革命」など、複数のキーワードから多角的に読み解いていく。長期取材によって〈見えにくい国イスラエル〉の実像を浮き彫りにし、中東のみならずアメリカ、湾岸諸国、そして世界のゆくえを占う渾身のルポルタージュ。国際社会で活躍するビジネスパーソン必読の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫の煙
10
近年、ハイテク国家として注目されるイスラエル。軍事技術由来であるが、その根底にあるのは、永年の流浪、差別の末に獲得した土地を絶対に守り抜くという強い信念である。国際法違反の占領を続けることは非難されるが、ユダヤ人の歴史を振り返ると簡単な話ではない。さて、バイデン政権下での対イスラエル、イラン政策はどうなるのか。2020/12/05
ta_chanko
8
かつてはアラブ諸国が全面的にパレスチナを支援し、イスラエルに敵対していたが、今はUAEなど湾岸諸国がイスラエルと国交を結ぶなど、中東情勢は変化してきている。サウジアラビアとの国交樹立も時間の問題か。一方でイランとの敵対関係は深刻化し、トランプ外交もあって解決不可能なものになっている。石油収入に依存できないアラブ、危機の中でイノベーションを生み出すイスラエル、それを全面的に支援するアメリカ、経済制裁に苦しむイラン。トランプが落選すればまた構図が変化?2020/10/08
matsu
4
イスラエルの現状について、ビジネス面だけでなく、アメリカとの関係や、中東情勢における位置づけ、現在の中東情勢におけるイスラム世界の変化等々、幅広い観点からの議論がなされていてとても面白かった。2020/09/07
Go Extreme
4
中途半端ではなく、やりすぎなくらい:イスラエルの行動パターンをすべて言い表す 売り文句:proven technologyとfield-tested 2000年代:軍事技術から派生したソフトウェアの製品登場・サイバーセキュリティ サイバーセキュリティ技術が民問市場に ユダヤ人が独自性:ユダヤ教の戒律のおかげ 世界に先駆けてグローバル化した民族 イスラエルで斬新な商品やアイデアを生み出す人材:アクが強い人間 奥ゆかしさを忘れて、時にはものをズケズケ言う姿勢に切り替ええう必要あり 破られた「寸止めのジンクス」2020/08/15
なん
3
イスラエル、パレスチナ、イランにサウジアラビア、そしてシェール革命を経た、トランプ政権時代のアメリカ。三つ巴四つ巴の中東情勢が、それまでの価値観ごと、コロナ禍に呑み込まれていくところまで。2024/05/23