内容説明
NHK放送文化研究所が1973年から5年ごとに実施している「日本人の意識」調査。本書はその第10回(2018年)の結果をもとに出版するものです。「生活の目標」や「人間関係」といった基本的な価値観から、「家庭」や「仕事」に対する考え方、「政治活動」や「ナショナリズム」など、様々な領域の質問要項を設定し、それを45年にわたってほぼ同じ方法で継続的に調査・蓄積してきたデータの分析は、社会学の研究者たちからも高い信頼を得ています。日本人の意識はどう変わったのか? そして、何が変わっていないのか? 時代状況や世代交代による意識の変化を明らかにしながら、日本人の「いま」と「これから」を読み解いていきます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那由田 忠
17
7版から読んできた。日本人の基本的なあまり変わることのない意識を知ることができる。9版は70年から始まったこの継続的調査の中で、何が最も変化したかなどをていねいに説明している。それは家族と男女のあり方に関わる意識なのだ。女性が職業を持ったり大学まで行くのが普通となり、老後は子や孫と過ごすのではなく夫婦で趣味を持って暮らすことを望むようになった。結婚しなくてもよいという意見は増えたものの自分については結婚したい、しかし結婚できない人が急増しているのが日本の最も不幸な状態なのだろう(高齢化を激化させるので)。2020/04/05
崩紫サロメ
13
NHKが1973年から5年ごとに行っている、日本人の家庭、政治、国際化、生き方などの意識調査をまとめたもの。本書から初めて読んだが、質問項目や結果の羅列だけでなく、読みやすい工夫がなされている。20年前20代だった人は40代になっている。だから、同じ項目に対する同じ世代がどのように意識変化していくかを見ることも必要であり、これは解答結果からだけでは見にくいが項目ごと、また巻末にまとめてあり、わかりやすい構造になっている。2020/06/26
小鳥遊 和
5
データ自体は"「日本人の意識」調査"で検索すればNHKのサイトで書籍より網羅的に(男女別、年齢層別、都市規模別、学歴別で)見られる。本書の優れた点は、特定調査項目について複数の「別」(生年+調査年など)をまとめるグラフが示されている点、他の評にあるように複数項目間でクロス分析(日本への愛着と対外交流意欲は相反せずかえって正の相関を示す等)がなされている点、長期間で変化した項目・しなかった項目等の歴史的記述がある点だ。Webで読めない分析は書籍の価値を高めている。2023年調査を加えた第10版にも期待する。2025/02/16
Yasomi Mori
5
1973年から5年ごとに実施される「日本人の意識」調査。「男女と家庭のあり方」「政治」「国際化・ナショナリズム・宗教」「仕事と余暇」「日常生活」「生き方・生活目標」の6領域についての定点観測で、45年間で最大変化は「家庭・男女関係」(90年代までの変化度合いが大きい)。性別役割や婚前交渉に対する価値観の変化は分かりやすいところ。反対にほとんど変わらない「日本人の基本的な生活意識」は、「年上の人には敬語を使うのが当然だ」「日本の古い寺や民家に親しみを感じる」「日本に生まれてよかった」などは、80%超の支持。2020/12/31
n-shun1
4
5年ごとの調査結果。2018年実施,2020年出版。 時代の変化は社会の変化,社会の変化は個人の変化。 変化に注目しがちだけど,変化しないことにも注目する。変化しない部分は日本的なものかも。p.214 ・年上の人には敬語を使うのが当然 ・日本の古い寺や民家に親しみを感じる ・日本に生まれて良かった ・選挙を通じて政治家を選ぶのが良い ・仕事相手は能力よりも人柄を優先 ・計画を十分に練って旅行する ・生活を充実させるために重要なのは健康な体 等2021/08/16