内容説明
新型コロナウイルス対策では中国や欧米諸国のようなロックダウンも行わず、世界中から「ゆるい」と指摘されていた日本。にもかかわらず、結果的には感染者・死者の数も世界的に低い数字で抑えられ、その衛生文化について注目が集まっています。本書は「ペスト」など世界で流行した歴史上の感染症のうち、日本で大流行しなかった疫禍を取り上げ、それがなぜなのかということを探るとともに、日本で大流行した「結核」その他の疫病が、日本史上、どのような政変をもたらしたのかについてまとめた一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
60
著者は東京大学史料編纂所教授の本郷和人先生と元TBS報道局の記者の伊沢元彦氏。様々な疫病によって形作られてきた日本の歴史について振り返った一冊。国内への感染は外国との交流度合いが大きく、交流が少なかった13世紀、世界的な脅威となったペストは日本で流行しなかった。奈良時代の天然痘、戦国時代の梅毒、江戸時代の麻疹・コレラ、大正時代のスペイン風邪、これまでも多くの疫病の経験をしてきたことを知りました。黒田官兵衛や結城秀康が梅毒だったのは初耳。天然痘による孝明天皇崩御が長州側のバイオテロとの仮説が興味深いです。2023/01/14
ゆきこ
23
人類の歴史において疫病(感染症)が及ぼした影響や、日本人と疾病の歴史などがまとめられた一冊。対談+まとめの文章という形式でとても読みやすい反面、全体的に内容が重複していて少し残念でした。日本が島国であることと、日本人の穢れを忌避する伝統が、日本と感染症の関係を考えるときにポイントとなってくるのかなと感じました。2021/01/02
新父帰る
13
日本で感染症の爆発的な拡大が起きないのはなぜかから始まる両者の対談と単独での見解を披露。神道の「穢れ」忌避が感染症を防ぎ、その穢れを最も忌み嫌った所が朝廷。それも朝廷では穢れを甲乙丙丁とランク付けしていた。あの藤原道長も糖尿病で亡くなった時捨て置かれた。地政学的には四海に囲まれた島国日本の利点はあったが、藤原四兄弟が相次いで亡くなった天然痘では日本の人口の25~30%が死亡。もう一つの山は大正時代のスペイン風邪。鎖国との関係も面白い。最後に井沢の「神道は穢れを排除し、仏教が救済する」は名言だと思う。2020/09/14
fseigojp
12
本郷さんの井沢さんヨイショが面白い2020/11/07
和希
8
状況が少しでも変わると内容がそぐわなくなってしまうが、現在はまだアリか。 内容はともかく、他人の説をディスらないと自説の正当性を訴えられないのかな。なるほど!と思う内容だけに、少々残念。いろんな考えがありますが~くらいの方が、多くの説があるなかで、読者は正しい知識、扇動されない落ち着きを持って、コロナ禍に健康を保っていかれる気がします。2020/11/16