内容説明
交易の使節団に加わり、相手国トコシュヌコを訪ねることになった空人(そらんと)。そこはかつて十九年間、自堕落に暮らした祖国だった。自分が、シュヌア家のひとり息子・ソナンであることは決して気取られてはならない。速やかに任務を終え、一刻も早く〈我が地〉輪笏(わしゃく)へと戻るのみ――。細心の注意を払いながら、王都の大臣邸で開かれた晩餐会に臨む空人だったが。異世界ファンタジー、波瀾の第3巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
77
思った以上に怒涛の展開でした。ソナンの生い立ちの謎も見えてきて、両親の無責任さには呆れてしまいます。彼が生まれ変わる前に身を持ち崩したのは彼自身の罪だけど、原因は厳しすぎる父親にあるでしょう。表紙はシュヌア将軍かな?もっと登場すると思っていたけど案外出てきませんでした。最終巻に期待します。2021/06/23
佐島楓
61
情けは人の為ならずというが、情けをはっきりとした形でかけていなくとも愛してくれていた人たちがいるということに、ソナンが気づけていなかったのが悲劇の元だったのかもしれない。大変な局面を乗り越えたのち最終巻へ。2020/11/12
papako
43
自分の秘密を誰かに相談できていれば!苦難の日々だ。罰金をみんなが払いに来たシーンに感動。そして洞楠の督のくそに一言言ってやれてよかった。2022/07/26
りー
28
やはり、そう上手くいかないのが人生なのか。弓貴で地方領主になり王族の妻を得ていたが故に、かつての祖国でそれを明かすわけにはいかず、ただひたすら愚かしかった頃の罪を償い続ける人生。一旦得たものを失う方が、一度も得ない人生よりも、良いか悪いか。どうだろう。最後の方で、なんとなーく、明るい兆しが見えてきました。表紙の渋いオジサマは、ソナン本人だったんですね、父上かと思ったら。生き直し人生で、すっかり人格者になったソナン。最終巻や、いかに。2021/04/29
タカギ
27
自堕落に生きていた故郷に帰って来た主人公。変装していれば見破られることはあるまいとたかを括っていたら、あっという間に見破られて捕えられる。いろいろあって故郷で大人しく暮らし始め、二度と彼の地は踏めまいと覚悟を決めた頃、使節団の一員としての派遣が決まる。幸運なのか不運なのか分からないけど、空鬼に面白がられていることは確実。装画はよく見かける遠田さんだけど、男性を描くのが苦手なのかなと思った。この巻は主人公の父親の将軍だろうけど、悪徳商人に見える。1巻の主人公は幼すぎて10代前半に見える。2巻4巻は良い。2020/12/21