内容説明
コロナで逼塞する現代人に必読の書!
現代人が読んで心を打たれる、それが『歎異抄』。金言・箴言に満ちたこの書は、思想的には難しい。平易な解説で深みまで導きます。
<目次>
【はじめに】 『歎異抄』が与えた影響/数多の謎を持つ『歎異抄』 ほか
【第一章】『歎異抄』を読んでも仏教はわからない
【第二章】近代知性が痺れてしまう
親鸞のオリジナリティ・縦のつながりと横の広がり/「念仏して地獄におちたりとも」/勘当した息子・善鸞 ほか
【第三章】「悪人こそが救われる」が持つ破壊力
悪人こそが救われる?/「悪人成仏」のインパクト/罪と悪と救いの問題 ほか
【第四章】親鸞に弟子は一人もいない?
今までの仏教の枠を外した法然/明恵の法然批判/親鸞直筆の手紙・家族への思い ほか
【第五章】念仏して喜びがなくてもいい?
宗教の源泉は大洋性/阿弥陀仏信仰と一神教信仰の神の違い/他力のややこしさ ほか
【第六章】 信仰と無信仰について
親鸞の思想の最も深い味わい/信仰の「加害者性」/無信仰の「当事者性」 ほか
【第七章】 仏教の生命観と人間観
親鸞と善鸞/「宿業」の捉え方 ほか
【第八章】 悟りとは何だろう
「臨終正念」をひっくり返した法然親鸞/宗教の善悪・社会の善悪 ほか
【第九章】 倫理と宗教を深掘りする
仏教という光に触れて柔らかくなる心と体/現代倫理学の義務論・功利主義 ほか
【第十章】 「迷える私」が信心を生む
「仏法」と「迷える私」の共同作業 ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びす男
37
先日読んだ歎異抄が、心のあちこちに引っかかりを残してくれた。きちんと「ハマりたい」と思い、専門家の本に手を出した■訳や解釈に加え、時代背景の解説も分かりやすい。宗教の醍醐味を語るときの、文章の熱っぽさにも惹かれた■仏教の体系とは一線を引きつつ、やはり信仰の本質を突いた古典らしい。読み、考えるほど、おのれ一匹が、いかにままならないかを感じる■歎異抄は、つまり自己を読む本だと思う。自分自身を完璧に理解できないように、この書に完全な理解はない。煩悩から脱する、その時まで。だから多くの知識人が愛読したのだろう。2021/07/03
ホシ
21
『歎異抄』を紐解くとともに真宗教学、仏教学、宗教学、哲学、倫理学などにも触れつつ唯円・親鸞の思想に迫ります。『歎異抄』は日本古典文学全集と梅原猛解説のものを読みましたが、本書は当代きっての真宗僧による解説書で、また違った味わいがあります。釈先生の知性が光る一冊です。読メでは感想を素直に書こうと努めていますが、学を衒っている所がないかと言えば、それは嘘になります。こんな私は仏の境地から見れば、やはり「悪人」に他なりません。そうした私の”ニセモノ性”に出会わせてくれるのが『歎異抄』の魅力なんだと思います。2021/02/11
ryohjin
15
著者による「初歩からの宗教学講座」の中の「シリーズ歎異抄」をまとめた本ということです。原文→現代語訳→解説という構成で、歎異抄全文を読み解いています。解説は経典や他の文献など視野を広げた内容で、現代の視点からも説明がなされており充実しています。2年前に読んだときは、字面を追うことしかできませんでしたが、今回は親鸞の教義や親鸞その人について少しは感じとりながら読めたように思います。歎異抄は、読み返す度に、新たに気付き、考えていくことのできるテキストであり、これからも長く読み返していくことになりそうです。2023/04/20
魚京童!
11
仏教がみんなで読経していたっていっていて、なるほどなって思った。コーランだってみんなで読む。キリスト教だけだよね。偉い人が読み上げてるのを日曜日に聞きにいくって。不思議だよね。一体感を出すなら、定期的な音楽(太鼓)に合わせてみんなで読むと一体感が生まれて、ザ・宗教になるんだけど、座禅しろって言ってる道元はそれが嫌だったのかもしれない。どういうことなんだろうね。そのあたり気になるよね。2022/07/03
coldsurgeon
5
浄土真宗というよりも仏教そのものを理解するつもりで読み始めた。理解できなわけではないが、難しいというより、切り立った峰を歩むような、安易な納得を許さない文章の展開を持つ「歎異抄」だと思う。死者の目を意識して生きるという感覚は、重要だろう。そして、新興の加害者性という「信仰は人を傷つける可能性があるという自覚を常に持ち続けなければならない」という考え方は、宗教というものを見る目を変える。倫理が社会をうまく動かしていく人間の知恵であり、宗教は自分自身の苦悩と問題解決の道であろうとしている。2022/03/11
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