内容説明
考古学の二大理論、プロセス考古学とポストプロセス考古学――。それぞれに自然科学的、人文・社会科学的とアプローチの違いはあれど、どう絡み、何を目指すべきなのか。両理論の第一人者・阿子島香と溝口孝司が向き合い、語り合った。現在の世界的潮流を理解し、日本の考古学を次なる段階へと進めるため、その背景と役割を振り返る。
目次
はじめに[井原泰雄]
第1章 考古学理論との対峙──プロセス考古学とポストプロセス考古学をなぜ議論するのか[中尾央]
第2章 [対談]ムカシのミライ:プロセス考古学×ポストプロセス考古学[阿子島香・溝口孝司・中尾 央 司会:菅野智則]
第3章 プロセス学派とポストプロセス学派の相克をめぐる人類学的布置[大西秀之]
第4章 歴史科学としての現代考古学の成立──研究者ネットワークと周辺分野との関係について[三中信宏]
第5章 埋蔵文化財にかかわる日々の業務の中で[菅野智則]
第6章 プロセス考古学の現在から日本考古学の未来へ[阿子島香]
第7章 ポストプロセス考古学的フェイズにおける社会考古学──リコメント、あるいは同時代的状況の中で適切に体系的に「温故知新」を行うために[溝口孝司]
あとがき[田村光平・有松唯]
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mentyu
2
日本考古学における、身体レベルまで染み込んだ「反理論」の精神の問題が一番気になる。もともとマルクス主義であれだけ盛り上がっていたのに、どうしてこうなったのだろうか。平安博物館事件と埋文行政体制の成立なんかが契機ではあるんだろうけど、もっと学史としてしっかり整理してみたいと思う。2023/08/03
遊動する旧石器人
0
2018年10月20日第1版第1刷発行。本書は2016年6月5日に東京・一ツ橋の学術総合センターにて開催されたシンポジウム「ムカシのミライ:プロセス考古学×ポストプロセス考古学」における阿子島香氏と溝口孝司氏による対談の記録を中心に据え、企画者・聴講者、そして対談後の阿子島香氏と溝口孝司氏による文章から構成される。母校柄、比較的このような理論を勉強してきた自身にとって、2016年の会に非常に参加したかったが叶わず、こうして文章化されたことを嬉しく思う。考古学とは未来を考える学問と習った自身は溝口氏に近い。2020/10/19