内容説明
教育社会学は、社会事象が生起するメカニズムを明らかにする「存在学」であるのみならず、学術的知見に依拠した、ミクロ・マクロの処方箋を提示せんとする「規範学」でもある。本書は、進路選択、教育達成の格差、子どもや教育にまつわる言説など、現代の不平等の課題を検討し、平等への志向性を秘めた「平等の教育社会学」を目指す。
目次
はじめに[耳塚寛明]
第I部 キャリアはひらかれているか?
第1章 90年代以降の大都市における若者の職業意識の変化─「若者のワークスタイル調査」より[堀有喜衣]
1.はじめに
2.大都市の若者の職業意識の変化
3.誰が「できれば仕事はしたくない」と考えているのか
4.おわりに
第2章 若者のトランジションと社会変容─JELS調査でみる高卒後10年[寺崎里水]
1.後期青年期という課題
2.分析視点
3.分析に用いるデータ
4.結果
5.分析と考察
第3章 都市と地方の若者の自立観と依存─JELSインタビュー調査から[中島ゆり]
1.はじめに
2.JELSインタビューの概要
3.高3時の自立についての年齢規範
4.20代後半の自立観
5.おわりに
第4章 進路としての無業者─教師の認識と指導「理論」[諸田裕子]
1.本章の目的
2.調査の概要
3.本章の分析枠組─教員の語りへの着目
4.多元的な現実を生きる教員たち─「未定者」の特徴をめぐる語りから
5.指導「理論」─指導の実態や理念を語る教員たち
6.小括─指導「理論」の問題構成
第II部 格差に挑む
第5章 親の学歴期待と子の学歴希望・教育達成─変化するなかでの関係性および階層差[王杰(傑)]
1.はじめに
2.使用するパネルデータ
3.2つのコーホートの分析結果
4.知見のまとめと考察
第6章 我が子に対する学歴期待と自身の大学時代の学びや成長─大学既卒者に対する大規模調査に基づいて[望月由起]
1.問題背景
2.調査の概要
3.我が子に対する学歴期待と大学に対する価値づけ
4.大学時代の充実度・成長実感による我が子に対する学歴期待の相違
5.おわりに
第III部 学歴社会を超えて
第7章 不本意入学からの脱出─「高専卒業生アンケート」の分析から[李敏]
1.「就職率100%」の高専における不本意入学
2.不本意入学発生の構造
3.分析の結果
4.不本意から脱出するためには
第8章 国境を越えた職業達成に対する学歴の効果─アメリカThe New Immigrant Survey(NIS)第一波調査の分析[中西祐子]
1.問題の所在
2.先行研究における議論
3.データとサンプルの特徴
4.学歴別にみた移住後の職業達成
5.移住後の職業達成にみられるジェンダー構造
6.国際移動とメリトクラシー,ジェンダー,ナショナリティの交差
第IV部 子どもと教育の最前線
第9章 選択としての発達障害と医療格差─発達障害児の親へのインタビュー調査から[木村祐子]
1.発達障害という「選択」
2.医療化現象としての「発達障害」
3.当事者が抱える問題
4.逸脱研究における格差論のジレンマ
第10章 保育者の専門性とは何か─保育者の専門性の実証的分析試論[上田智子]
1.はじめに
2.保育者の専門性に関する議論の動向
3.実習日誌コメントのテキスト分析─保育者の専門性の実証的分析試論
4.おわりに─今後の課題
第V部 平等の教育社会学
第11章 学力格差の社会学─高い成果を上げている学校に学ぶ[耳塚寛明]
1.学力の地域間格差から家庭的背景による格差へ
2.家庭的背景と学力格差
3.高い成果を上げている学校
あとがき[上田智子・中西祐子]
索引
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