内容説明
つながりに取り込まれているように見えて、その内側に孤独感を抱えている人が増えている。本書は、多くの人がつながりに対して漠然とした不安を抱く社会を「孤立不安社会」と名付け、現代社会の孤立にまつわるさまざまな現象を検討する。私たちはなぜ、「一人になること」を恐れるのか。量的調査、質的調査を用いて解き明かしてゆく。
目次
はじめに
序 章 孤立不安社会の到来――個人化の果てに
1 孤独・孤立を不安視する社会
2 「選択的関係」の主流化と孤立不安社会
3 つながり格差の発生
4 自己決定と関係性の再編
5 私たちの人間関係
6 本書の構成
第I部 選ばれない不安
第一章 選ばれない不安、毀損される承認――婚活を事例として
1 私たちの人間関係――序章を振り返って
2 変わりゆく承認
3 承認の獲得としての婚活
4 コミュニケーションの当惑
5 婚活の明暗
6 婚活の果てに――承認獲得競争の顛末
第二章 つながり格差の時代――迫り来る孤立の恐怖
1 格差化するつながり
2 人間関係の効用
3 つながり格差の実態 1――恵まれる上位層、排除される下位層
4 つながり格差の実態 2――同類的集団の形成
5 「選び、選ばれる関係」の不透明さと恐ろしさ
第II部 選ばせられる孤立
第三章 孤立と自己決定の危うい関係
1 孤立する自由と不安定化の狭間で
2 孤立死とその対策
3 孤立者を支援することの難しさ
4 孤立死をめぐる自己決定問題
5 孤立と自己決定の複雑な関わり
6 孤立死問題への対応と善き社会に向けて
第四章 私たちの人間関係にひそむ象徴的支配
1 孤立を促す生活態度への着目
2 自己への関心と親による面倒見――分析モデルの提示
3 分析に用いる変数
4 自己への関心、親による面倒見は孤立と関連するのか――計量的分析
5 孤立をめぐる重層的な排除――本章のまとめ
第III部 つながりづくりの困難
第五章 つながる地域は実現するのか――地域社会の関係性
1 つながりを望まれる地域
2 研究のなかでの地域のつながり
3 量的調査から見る地域のつながり
4 現代社会の近隣関係
第六章 なぜ私たちはつながらないのか――都市郊外の研究から
1 コミュニティの十字架を背負って
2 郊外都市多摩市の概要
3 コミュニティセンターの概要
4 住民が織りなす「コミュニティ」
5 つながる地域を実現するために
終 章 孤立不安を越えて
1 これまで見てきたこと
2 孤立からの脱却――弱い紐帯再訪
3 孤立不安社会からの脱却
補 論 SNSとつながり――ケータイ、スマホによる「自由からの逃走」
1 情報通信機器と人間関係
2 「選択的関係」の主流化
3 常時接続の時代
4 グレーゾーンの撤廃
5 これからの関係性
あとがき
文 献
索 引
初出一覧
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