映画で考える生命環境倫理学

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映画で考える生命環境倫理学

  • 著者名:吉川孝/横地徳広
  • 価格 ¥2,530(本体¥2,300)
  • 勁草書房(2020/11発売)
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  • ISBN:9784326102730

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内容説明

SF映画などのフィクションは、私たちにとって当たり前の現実が、ほかでもありえたことを教えてくれる。映画を思考の手がかりとしながら、気鋭の8人の論者が人間とは何かを問い、生と死、私と他者、心、愛、知、環境、科学技術といった問題を考える。倫理学的に考えるためのヒントが詰まった生命環境倫理学の新しいテキスト。

目次

はしがき[吉川 孝]

序 章 映画とともに思考するとき[吉川 孝]
 1 映画は考える
 2 映画で考える
 3 本書における映画作品と倫理学のトピック

第1章 『2001年宇宙の旅』にみる「人間の条件」[信太光郎]
 はじめに──「地球(大地)の外」に生きるということ
 1 「二一世紀のオデュッセイア」は何を歌うのか
 2 名と目──ロゴスへの挑戦
 3 「幼児」の二義性──人間像の脱構築
 おわりに──「考古学」としてのSF

第2章 ナヴィのように「見ることを学ぶ」ことができるか──『アバター』と生命環境を知ることの倫理[池田 喬]
 はじめに──『アバター』は何を問うているのか
 1 軍人クオリッチの場合──ケアの倫理から
 2 宇宙生物学者グレイスの場合──科学的世界観と神聖さの感覚
 3 主人公ジェイクの場合──ポストコロニアルな視点
 おわりに──知ることの倫理という次元

第3章 クローン人間と臓器移植をめぐる物語──映画『わたしを離さないで』から生命倫理を考える[瀧 将之]
 はじめに
 1 そもそもクローンとは、またクローン人間とは何か?
 2 「提供者」としてのクローン人間──臓器移植をめぐる問題
 3 ブタを用いて移植用のヒトの膵臓を作る──移植医療研究の最前線

第4章 人型ロボットは愛することができるか──キューブリック/スピルバーグ『A.I.』論[渡名喜庸哲]
 はじめに
 1 ロボットは愛することができるか
 2 ロボットは愛されることができるか

第5章 人はAIと恋愛することができるのだろうか──『her/世界でひとつの彼女』と『エクス・マキナ』を題材に[山田圭一]
 はじめに
 1 恋愛にとって身体は必要か
 2 複数の相手と恋愛することは悪いことなのか
 3 われわれはAIと本当に心を通じ合えるのか
 4 われわれとAIはお互いにとって代替不可能な存在となりうるのか

間 奏 生命環境倫理学とは何か──生命圏と技術圏[横地徳広]
 1 生命環境倫理学とエートス
 2 生命圏とバイオテクノロジー──『ブレードランナー』を手がかりに
 3 技術圏とサイバネティクス──『攻殻機動隊』を手がかりに
 4 生命圏と技術圏の融合──サイバーパンクを怖がる?

第6章 「手」が創設する倫理──『この世界の片隅に』から考える人間と環境の関わり[佐藤香織]
 はじめに
 1 「手」を通じた環境との関わり
 2 居場所に関する問い
 おわりに

第7章 カタストロフィを語る哲学と映画──『君の名は。』が描く「災後」の「時間」[渡名喜庸哲]
 はじめに
 1 哲学は「世界の終わり」を語れるか
 2 カタストロフィ論としての『君の名は。』
 3 『君の名は。』の時間論
 4 未来の足跡と未来の痕跡
 おわりに

第8章 〈絶対戦争〉後の世界を考えること──『風の谷のナウシカ』とわれわれ[横地徳広]
 はじめに
 1 環境汚染と人間改造の虚実
 2 生命への問いと人間
 3 絶対戦争とわれわれの日常
 おわりに

第9章 食べること、人間であること、生き残ること──『ソイレント・グリーン』を手がかりに[吉川 孝]
 はじめに
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マイケル

7
主にSF映画を題材に哲学・倫理学について考える本。難解な部分もあるが本書で取り上げたSF映画を観たことがあれば思い出しながら各テーマについて著者と一緒に考えるのも興味深い。特に「わたしを離さないで」を題材にクローン人間と臓器移植を扱った3章と、「ソイレント・グリーン」を題材に肉食の問題を扱った9章が刺激的で面白い。共にピーター・シンガーの「動物の開放」に言及。他にも「ブレードランナー」や「マトリックス」に言及している箇所もありSF映画ファンにはうれしい1冊。本書で取り上げた映画をもう1度観たくなる。2021/06/29

QReasu

1
生命環境倫理というデリケートで論じづらさのあるジャンルに、映画をひとつの思考実験の題材として取り入れることでただの仮定の話ではなく「ありうる話」としての実感を持って考えさせることができている。映画に対する評論としても面白く、新しい視点から紹介されている作品をもう一度見直したくなった。2023/07/11

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