内容説明
時に激しく対立する「名誉毀損」と「表現の自由」。どこまでがセーフでどこからがアウトなのか、2008年以降の膨大な裁判例を収集・分類・分析し、実務での判断基準、メディア媒体毎の特徴、法律上の要件、紛争類型毎の相違等をわかりやすく解説する。第2版では、2016年の初版以降3年分の最新裁判例を膨大に追加。
目次
はじめに
1 インターネット時代の名誉毀損法
2 インターネットの特徴毎の留意点
3 本書の構成
第1編 総論
序章 はじめに
第1章 インターネット上の名誉毀損の見取り図
1 相談事例
2 問題点
第2章 名誉毀損法の法構造
1 はじめに
2 3種類の「名誉」
3 刑事名誉毀損の法構造(図2)
4 民事名誉毀損の法構造(図3)
5 民事名誉毀損と刑事名誉毀損の相違
第3章 サービス毎の特徴
1 はじめに
2 ウェブサイト
3 ブログ
4 User Generated Contents(UGC)
5 メール
6 SNS
7 リンク・転載
8 インフラ化
第4章 インターネット上の名誉毀損に関する手続法概観
1 はじめに
2 プロ責法
3 削除請求(表1)
4 開示請求・ログ保存請求(図4)
5 損害賠償請求・名誉回復請求
6 プロバイダの責任
7 刑事告訴
第5章 関連する諸権利・諸法令
1 はじめに
2 プライバシー
3 肖像権
4 その他の人格権・人格的利益
5 不正競争防止法
6 リベンジポルノ
7 ストーカー規制法
8 刑法犯
9 営業権侵害・業務妨害
10 知的財産権侵害
11 その他
12 労働等
13 その他のインターネット上の行為
14 名誉毀損が成立しない場合の不法行為の成否
15 債権的名誉毀損
第6章 国際名誉毀損
1 はじめに
2 裁判管轄
3 準拠法
4 国際SLAPP訴訟への対応
5 刑事関係
第2編 理論編
序章 はじめに
PART 1 事実摘示による名誉毀損の積極要件
第1章 摘示内容の特定
1 はじめに
2 一般読者基準
3 具体的な問題
4 複数の文章の関係
5 1文、1フレーズを取り出すべき場合
第2章 摘示内容が社会的評価を低下させるか
1 はじめに
2 社会的評価の低下の程度
3 社会的評価を低下させたとの認定が比較的容易な場合
4 人格的価値に関する社会的評価の低下に限られるか
5 媒体の信頼性と社会的評価の低下の判断
6 インターネット上の表現の信頼性と社会的評価の低下の判断
7 類型別の検討
第3章 公然性
1 はじめに
2 民事名誉毀損において公然性が必要か
3 対象者のみへの伝達
4 伝播性の理論とその広範な応用
5 不特定・多数
6 インターネットと公然性
第4章 「対象者の」名誉が毀損されること
1 はじめに
2 漠然と何らかの集団全般を対象とする表現
3 組織関係
4 対象者本人に言及しているにもかかわらず対象者に対する名誉毀損が否定される場合
5 本人そのものに直接言及しない場合
6 なりすまし
7 死者に対する名誉毀損
8 晒し
第5章 匿名・仮名による言及と対象者の特定
1 はじめに
2 伝播性の理論の匿名・仮名表現への応用
3 本人を示唆する情報から本人のことだと推測できる場合
4 社会生活との関連性がある仮名
5 インターネット上の人格の社会的評価が毀損されたにすぎない場合
6 フィクションによる名誉毀損
7 基準時
8 その他
第6章 「表現者が」名誉を毀損したこと
1 はじめに
2 表現者の特定
3 共同不法行為
4 表現者が組織の場合
5 情報提供者の責任
6 ルーメン
PART 2 真実性・相当性の法理
1 はじめに
2 刑法230条の2
ほか